第百二十五話 ハイキング
「ほっこりしますね」
「ほっこりします」
僕とフォリスさんは、獣人の国へむかい国境を越えました。
デイラの領主も王国も自分から攻めて来る気はないようなので、ロウロ領の統治と辺境の懐柔はファージさんとコウケンさん、ロウロさんにお任せしました。
もっともデイラの領主は、こそこそなにか策略を練っているようなので、注意は必要です。
でもまあ、シャドウからの情報でだいたい見当は付いています。
それよりも僕は、長引く戦いを想定して食料の調達が重要と考えています。
「良い天気だから、気持ちいいニャーー」
獣人の国は農業国で、魔王国は農産物を獣人の国から買い入れています。
輸入量の拡大のお願いと、友好の為の使者として、アズサとフォルスさん、そしてアドとジュウドウと、なぜか丁度出発に居合わせたドワーフのショート爺さんで獣人の国の王都に向っている。
「丁度よかったのう。わしほど獣人の国に詳しいものはいない。まあ感謝するように」
ショート爺さんはけっこう御機嫌な御様子。
アドは獣人なので、いてくれた方がスムーズに話しが進みそうだから来てもらった。
今のところアドも上機嫌だ。
獣人の国に入って少し歩くと、魔人の国とは雰囲気がガラッと変わった。
平地一面に、麦だろうか、緑がずっと広がっている。
麦畑の中に、白い毛をした温厚そうな人達が働いている。
「あれは、ヒツジ族じゃな。農業は草食系の獣人が担当しておるのじゃ」
「そうニャあれは、ヒツジ族ニャ、アドも獣人だからすぐにわかったニャ」
「ショートさんもアドもさすがですね。見ただけですぐにわかるものなのですね」
「ちがうだ、おら達は、ヤギ族だ。そんなことも判らないということは、あんた達は旅人か?」
あらまー、二人ともまちがっていますよーー。
「失礼しました。少し違いますが、王都へ向っています」
「そうか、この先には山があるだ。山には狼やゴブリンが沢山いるだ。気を付けた方がいいだ」
「ありがとうございます。気を付けて行ってきます」
すぐに、山に着くのかと思ったのですが、山までは二日ほどかかりました。
「意外と険しい山じゃから、気を付けた方がいいのー」
ショート爺さんがおどかしてくる。
たいしたことがないと思ったら、本当に険しい山だった。
深い森の中に入ると、中から話し声が聞こえる。
「おかしい。あれほどいた、魔石ゴブリンも、魔石狼も全くいない」
「隊長ー!! こっちにゴブリンがいましたが、魔石ゴブリンではありません」
「うーむ。一体、山で何があったのだ」
僕は、声のする方を見て驚いた。
アドのように可愛い猫がいるのだ。
「フォルスさん、猫がいます」
「本当ですね。アドちゃんより可愛いです」
フォリスさんの言葉を聞いて少しアドがむくれている。
僕とフォリスさんは森の中へ、飛び込んだ。
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