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魔王  作者: 覧都
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第百十七話 護衛

「じゃあね。ライファさん皆をよろしくね」


 ロウロ様が、さみしそうな表情で私を見送って下さいます。

 私は、隣のデイラ領へ行く大勢の人達の護衛を引き受けました。

 魔王様は、ロウロ領を出たい者は自由に出ることを許してくださいました。

 王都に家族がいる方などが、ロウロ領を後にします。


「ふふふ、ライファ殿。俺も国境までだが、お供するように言われた。しばらくご一緒しましょう」


「オウブ様、ありがとうございます」


「あ、あのー。イ、イルナ様は元気でしょうか?」


 恥ずかしそうに、大きな体のオウブさんが聞いて来ます。


「うふふ。はい、少し前までお忍びでここにいたのですよ」


 魔人の人達は、人間よりよほど温かく感じます。

 私はこれから王都に帰りますが、王都では天帝の勇者が、最早手が付けられなくなっています。

 人々の希望は大聖女イルナ様だけになっています。

 まだ、小さなイルナ様に、重荷を背負わせています。


「そうですかーー」


 オウブさんはそう言うと、嬉しそうな顔をして空を見上げます。




 国境に着くと、オウブさんは私を見つめて口を開きました。


「では、俺はここまでです。あとはお願いします」


「はい」


「あの、」


 まだ何か言いたそうに、もじもじしています。


「なんですか」


「イ、イルナ様をよろしくお願いします」


「わかりました。私にお任せ下さい。ちゃんとお守りします」


 私は大げさに胸をたたきました。

 オウブさんと、配下の方は私達が見えなくなるまでずっと見送ってくれました。


 私達はそのまま街道を進み、デイラ領の街に着きました。

 私の役目もここまでです。


「チッ、難民かよ!!」


 街に領兵が詰めているようです。

 街の領兵は皆どことなくガラが悪いです。

 その領兵の中でも一番がらの悪そうな男が、吐き捨てるように言いました。


「私は、聖騎士団、第四番隊副隊長のライファです」


「ふん、お荷物の女騎士団かよ」


「……」


 つい私の悪い癖が出てしまいました。

 こっちが名乗っているのにこの返事は無い。

 頭に血が上ってにらみ付けてしまった。


「ぐへへへー、女騎士ごときが、俺たちに喧嘩を売ろうって言うのか」


「皆は下がって、手出し無用です!!」


 私は、部下に手を出さないように指示をした。


「へへへへ、俺が勝ったら今晩の相手をしてもらうぞ」


「一人で良いのか、私は強いぞ!!」


「ぎゃあああはっはっはっーーー!! 女聖騎士なんぞに誰が負けるかー」


 そう言うと領兵は、大きな拳で殴りかかってきた。

 回りの領兵は、止めるでも無く、気持ちの悪い顔をしてニヤニヤしている。

 領兵の動きは今の私には、止って見える。

 右足に体重を乗せ、右手だけで殴ろうとしている。


 私は、右手の袖をギュッとつかみ、全体重を乗せている右足を蹴り上げた。

 綺麗に体が回転して、地面に落ちた。


「ガフッ」


 口からつばきを飛ばして失神したようだ。


「てめーーーっ」


 回りで笑っていた男達が、全員襲いかかって来た。

 どいつもこいつも、素人の動きだ。

 ただでさえ遅いのに、動きが大きい。

 次々、投げ飛ばすことが出来る。


「まてまてーーっ!!」


 人相の悪い極悪人のような男が出て来た。


「……」


 私は無言でにらみ付けた。


「ひっひっひっ、いやー強いねーー」


「なんだお前は?」


「ふふふ、俺はデイラ三世だ!! ここの御領主様と言うわけだ」


「……!?」


 し、しまった。

 領主様かー。「なんだお前は?」なんて言ってしまった。

 調子に乗りすぎました。


「まあ、そんなに恐い顔で、にらみなさんな! 少し話しがしたいだけだ」


「何でしょうか?」


「おい、お前ら席を作れ!!」


 領主様が一声かけると手際よく、テーブルと椅子が用意された。

最後までお読み頂きありがとうございます。


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