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魔王  作者: 覧都
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第百十話 夜襲

「最早ここで、眠るしかなさそうですね。コウケンさんもこんなところで眠ったのでしょうか」


 アスラ様が無邪気な笑顔で私を見てきます。

 その顔はなんだか嬉しそうです。

 膝にはアドさんが乗っかり気持ちよさそうに眠っています。

 反対側にはフォリスさんがいて、アスラ様の体の影から顔をだして、私を見てくれています。


 細い道の壁に背中を預け、野宿のようです。

 この道は、狭いので足すら真っ直ぐ伸ばせません。

 空は、月も無く曇り空ですが、雲が薄いので星からの薄明かりがあります。


「眠って下さい」


 フォリスさんが声をかけてくれました。

 でも、のろいのエリクサーを飲んだ私は、眠気からは開放されています。


「はい、ありがとうございます」


 一応、そう答えて目を閉じました。

 目を閉じると、眠くなかったはずなのに、うとうとしてしまいます。


 ピュンピュン


 ハッと、物音に気が付くと矢が襲いかかっていました。


「あっ、起こしてしまいましたか」


 アスラ様が、私に向ってくる矢を、手でつかんで笑っています。

 優しいです。


「しかし、よく訓練されていますね」


「えっ」


「ふふふ、僕たちの位置は、目視確認出来ていないはずです。いつも同じ距離で矢がうてるように訓練されていると思います」


「それで、夜中にこれだけ的確に矢を射込めるわけですね」


「きゃああああーーー」


 フォリスさんが悲鳴を上げました。

 見るとアドさんがフォリスさんの膝の上に、敵の決死隊の一人を乗っけていました。


「アドは夜の方が、調子がいいニャ、これで全部片付いたニャ」


 そう言ったアドさんの顔が、逆光になって可愛いというより、あやしく美しく、浮かび上がりました。


「こんな夜中に弓攻撃をして、決死隊が飛び込んできたら、パニックになって同士討ちがはじまりますね。見事な作戦です」


 アスラ様がまた、敵を絶賛しています。

 でも、その気持ちはよくわかります。

 こんな、攻撃をされたらたまったものではありません。

 素人の私でもわかります。


 夜が明け、翌日も細い道で何度も奇襲を受けながら歩き続けると、その夕暮れ、開けた場所に出ました。

 そこには村があり、人の良さそうな村長に優しく迎え入れられ、食事まで用意してもらいました。

 疲れ切った兵士達には、天国に感じるタイミングです。


 私達は、村長の来賓用の家に案内され、家臣達は村の外に野営を許されました。


「やれーーー」


 夜がふけると、外が騒々しくなりました。


「これが、ファージさんの言っていた、汚いだまし討ちですね」


 アスラ様の顔が暗い怒りの表情になりました。

 この敵の策が、最も魔人を殺した策で、コウケン様に撤退を決意させた策だったのです。

 アスラ様のこの表情は、恐ろしい顔をした魔将軍達でさえ恐れる恐怖の表情になっています。

 魔人に不幸があると、よくこの表情をしています。

 私には悲しい表情に見えます。


「オウブさん、チョカイさん、シジセイさん、ロホウさん。存分に暴れて下さい」


 食事には毒が仕込まれていました。

 私達は食事を食べましたが、のろいのエリクサーで無効化しました。

 スザクは、もともと食事は必要無いので食べていません。

 襲いかかる兵士は、毒で動けない人のとどめを刺すだけと思っています。

 油断している兵士はあっという間に制圧されました。

 最初からここは村ではなく、敵をだまし討ちする拠点だったようです。

最後までお読み頂きありがとうございます。


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