ネズミの魔女⑥
突然に、紫色の煙が広がり、その煙が覚めたときには、何やら不良の足元に水まんじゅうが置いてあった。白く濁った半透明なその水まんじゅうは、小型犬位の大きさで、風もないのにふよふよと動いていた。
「な、なんだ?」
突然その謎の水まんじゅうが現れたため、不良は後ずさりをする。
「おい、コウ!うまそうだな、ぐへへ」
「空気読めって、手品か?」
「や、やっちゃえ!す、すらいむぅ!」
女の子がそう言うと杖をふる。その水まんじゅうはぼーっと明るく光り、不良のほうにひとりでに弾みながら近づいていった。
「く、くんなよ、おらぁ!」
ナイフをふりまわし牽制するが、微塵も反応せず、一直線に不良に向かっていった。
「ひ。」
「こ、こうげきぃ、!!」
そのスライムと言われた物体は、体の1部を変形させて、鞭のように男の体を叩いた。
「ぎゃああああ、あ、あ?いたく、ねぇ?」
幾度と殴られていたリーダー格の男は、途中から顔色を変えて、怪訝そうな顔をしていた。
1番驚いているのは、スライムをだした女の子だった。
「え、えええ!召喚、召喚!」
同じように何個も何個も煙とともに、水まんじゅう出現させ、攻撃させるか全くダメージを与える事はできなかった。
「び、ビビらせやがって、」
リーダー格のおとこは、スライム蹴飛ばした。