スライム太郎と12人の魔女〜異世界御伽噺〜
「あったまきた!ねずみの魔女!逃げるわよ」
「バカが。げっげっげ!わたしは神様だぜ?りゅうたろうもあっという間にやっつけてやった。こやつの力は昔話の寄せ集め。昔話の神様には、きかねえよ」
りゅうたろうをほおり投げる。
「昔話の神?ぷよたろう!桃!」
「お、オウ!」
「えっ、うん!」
「ばっ!逃げるんだっての!あいつに私たちの攻撃は効かない!」
「大丈夫だっての、借りるぜ。紅葉!」
こうたろうのうちから溢れ出る魔力は、ぷよたろうの中にある紅葉のスライムを呼び覚ます。
「合成獣・装備…跳躍殴打!!」
ぷよたろうがこうたろうとももに巻き付き、黒いスライムと化す。高く飛び上がり、スライムを重ねた拳を突き出す。
「げっげっげ!失われた物語の技を出すなんてな。無駄だよ」
だが、彼らの拳は神に届いた。
「なっ!なぜ!」
「あんたは昔話の神様であっても、ライトノベルの神様じゃないってことさ」
「天下無双流…」
「バカが!それはももたろうの」
「スライムピーチスラッシャー!!」
「ぬぅ!!」
袈裟斬りをうけ、跪く神様に、ももとこうたろうは刀と拳を向ける。
「「これで終わりだ!!」」
「長ぇ時間かけて準備してんだ。おわらせねぇよ!」
神様は懐からペンを取り出し、地面に突き刺した。
「ちと、魔力不足だが!全部消してやらあ!!」
「やめ!」
「削除『デリート』」
景色が真っ白に消えていく。
「げっげっげ!」
「大罪魔法・怠惰!!」
ちゅーこがおれとももに魔法をかける!
「2人分が限界、、じゃあね!ももちゃん。りゅうたろう!!」
神様もちゅーこも消えていく。
全て、消えていく。
思い出も、オヤジも、全て、消え
「…消えさせてたまるかぁ!!!」
走り出す。
地面に突き刺さったペンを引き抜く。
元の部屋に戻ったあと、手にはペンが握られていた。
それから1週間また忙しい日々が始まった。親父はもどらない。世界からは昔ばなしが消えてしまった。
「…よしっ」
いま、俺の手にはペンが握られている。
親父がおれに聞かせてくれた物語を書いている。
「よっ!こう!やってる?」
「あぁ、もも。」
いつか世界に物語が戻るまで。
おれは書き続ける。
「よし、今日の物語はな…」
部屋の隅にいるスライムの中で、宝玉がきらりと光った。
以上でスライム太郎と12人の魔女〜異世界御伽噺〜を終わります。
最後まで読んで頂きありがとうございました。
ダブル主人公と、様々な女性キャラを描きたかった。
昔書ききれなかった物語の供養。
敵がどんどんパワーアップする展開を描きたかった
という思いで書きました。
元々5万文字程度にしようと思っていたのですが、足りませんでした汗最後詰め込みすぎた。
次作は既にスタートしているので、そちらでがんばりたいと思います。