白い本9
「なんだよこれ」
こうたろうとももは、ちゅーことともに白い本の物語に入っていった。
最初に目にしたのは、黒い龍である。足元には、魔女たちがたおれていた。
「があああああああ!!」
「あの声、赤髪の女か」
黒い龍の中に、紅葉が浮かんでいるのを見つける。
「…暴走してるのか」
「憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い!」
「恨み言言うなら、わけを話さんかい、バカタレが!コウ、刀貸して!!」
桃は走り出し、剣を抜く。吉備津丸。魔を払う刀。近づいてくる桃に気づいた龍が、スライムの触手を次々に伸ばす。
「うおおおおぉ!天下無双流!!!」
たくさんの触手を切り伏せていく。
「桃突きぃ!!」
刺突する構えをする。魔力が乗っかり、威力が増す。
彼女の一撃は空を裂き、龍の中にいる紅葉を撃ち抜いた。
スライムが再び、紅葉を核にしようと触手を伸ばす。
「ぷよたろう!!ももと紅葉を守れ!!」
「オウ!」
「…魔女のみんな、力を借りるぞ」
「は、はい!よろしくお願いします!」
こうたろうは、ちゅーこの手をとり、魔力を練り上げる。
白い本に突入する際、魔女たちから、力をもらった。すでに宝玉はうばわれているため、戦力にならないということと、白い本から帰還するためには、それなりの魔力が必要なため、こうたろうに魔力を集めることになったのだ。スライムの使い方を見て、ちゅーこの魔法をより洗練されたものにできるだろうという期待もあった。
「紅葉の恨みのみを転送する。」
「え?は、はい!」
ちゅーこの大罪魔法は、術者が転送したいものを転送できる。なら、彼女の想いを、怨みを取り出せるはず。
「大罪魔法「ワンフォーオール」」
紅葉の体から、どす黒い液体が溢れ出る。