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白い本3
赤髪にゴツゴツとしたゴーグルを首にかけている彼女はどこか浮世離れした。あまり見た事のない素材の衣服だった。動きやすい黒い短パンに、様々な大きさのポケットのついた服を来ていた。
「あんた、たしか、親父と一緒にいた」
「ん?たしかりゅうたろうさんは小さいお子さんがいたはずなんだけど、どういうこと」
首をかわいらしく傾ける。
「知らない。知らない。早くどっかいけバカタレが!」
「ひどいなぁ、私は君にも興味があるんだよ?えっと、桃ちゃん」
「名前を呼ぶな!近寄るな!」
ふしゃあああとねこのように威嚇する桃。
「あらら嫌われちゃったか」
「早く行きましょう。太郎の残党はこの中に」
捕まった魔女たちをじっと見ていた仮面の女はふっと鼻で笑って言った。
「みじめね。12人の魔女も雑魚ばかり。」
そしてちゅーこの前に立つと杖を取り出して静かに言った。
「あなたは特にみじめ、タクシー代わりの使いっ走りの魔法、使役の魔法も使えずじまい。みじめね。私ならもっと上手く使えるのに」