〇〇〇〇う・〇んた〇う・うら〇ま〇ろう
「パパぁ!!!」
「危ないっての!あんたも巻き込まれる!!おい、馬!!」
「分かってるっての!我が脚にやどれ!『雷脚』」
馬の魔女は、ネズミの魔女と犬の魔女を抱え、その場を駆け抜ける。だが、モヤはそれに反応して、馬の魔女を追う。
「させるかよ『剛腕』!ほーら、こっちにも特上の魔力があるよ!!」
もやは馬の魔女を追うのをやめ、桃と牛の魔女の方へ向かう。
「ちょっ!こっち来たんですけど!!」
「…よし。おい!桃!じっとしてな!」
「え?!無理無理無理!!」
牛の魔女はその大きな手を桃の胸にそっと置いた。
「牛の魔女カウベルの名において、桃を次期魔女として、認める。」
「ちょ、何を言って!」
「はぁ、食いしばりなぁ!!」
『剛腕』で強化した力を持って、桃を投げ飛ばす。
「…ネズミの魔女を、世界を頼んだよ」
「え…」
「ガッハッハッ!!それ、たーまやー!!ガッハッハッ!ガッハッハッ!!」
彼女の豪快な笑い声も、もやの中に消えていった。
事態が昏迷を極める中、はるか上空で、この様子を見下ろす一行があった。彼らは龍の背にのり、しゃくしゃくと桃を食べていた。その中の赤い髪でゴーグルをかけた少女が喋りだした。
「あーらら、12の魔女も3分の1が脱落か。呆気ないねぇ、なぁ、スライムくん」
彼女がクッションにしていた水の塊はポヨンポヨンと弾んで同意する。
「どうするんですか?牛の魔女の宝玉が砕け散りますよ。龍のおばあさんの時みたいに」
仮面を被った女が尋ねる。彼女は色とりどりの玉を器用にジャグリングしていた。
「ふはは!世界の至宝を粗末に扱うんじゃあねぇよ。落とすなよー」
様々な武器を背負い、纏い、身につけ、ジャラジャラと音を鳴らしながら、酒をあおる男が1人。中年の男だが、身体は鍛えあげられていて、腕の筋肉は女性のウェストほどだった。
「宝玉が砕けないとこ見ると、継承権を誰かに移しやがったな」
男はそういうと、胸元にかけたペンダントを開いた。