も〇た〇う・〇んた〇う・うら〇また〇ろ〇
「貴様らああああ!よくも、よくも!」
三男が目を覚ました。
「お、目が覚めたか!」
もがく、豚をパトは踏みつける。
「おれの、娘は、どこだ」
「しらないぶひぃ!あんな売女!!ぎゃあああ」
パトは足に力をいれる。風が逆巻き、豚の皮膚を裂く。
「おれの娘を侮辱するな」
「犬の魔女の眷族としての風魔法『疾風』か。あの狼の宝玉の魔法『烈風』には、及ばないぶひ。眷族、そうだぶひぃ!ははっ!『暴食』」
「パト、アシを、ドケテ」
ぷよたろうが、パトの足を弾く。三男の身体から吹き出したモヤに触れた途端、ぷよたろうの体がえぐれた。
「グッア゛ア゛ア゛ア゛ア゛」
「ぷよ!どうしたんだよ!お前に物理攻撃は効かないんじゃ」
「ぶっひ、ひ、ひ。魂ごと食らったぶひぃ!スライムにも効くぶひ!」
「てめぇ」
もやは豚の体に巻きつけてあった拘束を解いた。
「この力は使いたくなかったぶひ。兄様達が帰ってくるのに無様な姿を晒す訳にはいかないんだぶひ!死に晒せぶひぃ!寿命を対価に!食い散らせ、大罪魔法『暴飲暴食』ぃ!」
全てを喰らい尽くすもやが吹き出した。
もやが迫る。
中庭の芝生はもやが通り過ぎると枯れて塵となった。倒れていた兵士たちも次々に塵となっていく。試しに、パトが魔法を飛ばすも、モヤに触れた途端、消滅した。
「ち、魔女たちに知らせないと」
「そ、そうだな、ラッシュ!どこだラッシュ!」
「ぷよ、大丈夫か。すまない。まだ見つからないか?」
「ハァ、ハァ、地下2階マデハ全部ミタ。もう地上のはず」
もやは次第に大きくなっていき、あたりを飲み込み始めた。
パトは、城の中へ向かって走りだした
「パトさん、危ない!!」
パトを追いかけるようにもやが蠢く。
「オオカミィイ゛イ゛イ゛イ゛ィ゛ィ゛ィ゛イ゛イ゛イ゛ィ゛イ゛イ゛」
モヤを吹き出し続ける三男はパトに気づき、雄叫びをあげる。もはや正気をうしなっており、風や火を巻き起こしながら、暴走していた。
「ラッシュ!ラッシュ!」
パトは地下から階段で上がってきた、少女たちを見つけた。娘たちは血みどろのボロ布をまとっていた。だが、生きてる!パトは視界が涙で歪んだ。しかし、喜びもつかの間、中庭から伸びるもやが彼女たちの視界の外から狙いを定めていた。
「まぁじょおおおおおお!オオカミのまじょおおお!」
「パパ?パパ!!」
「ラッシュ!逃げろぉ!!」
全力の風魔法で彼女たちを後ろに吹っ飛ばした。もやは魔力に反応して、パトの方に勢いよく、伸びる。パトは悟った。
「パパ!!」
娘は、驚きの表情をうかべていた。彼女の生まれ、育ち、遊び、喧嘩した日々が脳裏を駆けた。
「…愛してるぞ、わがむすめ、」
「パパああああああああ!!」