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スライム太郎12

あとは、豚に見つかる前に、桃たちを助けないと。いくら、パトさんが強くても、多勢に無勢だ。

「ぷよたろう!まだ見つからないのか?」


城壁から中庭を見下ろしながら、剣についたスライムに話しかける。分裂しても意識は共有されている。はじめに、散らしたスライムたちの情報をさぐるぷよたろう。


「マダダ!ネズミチャン、ジブンデロウヤカラデタミタイ」


「なんだと」


パトによると彼女たちがいる場所は地下牢が1番可能性があった。だが、こうなると探しようがない。


「なんだ、ぶひ」


三男が中庭に着いた頃には、芝生はスライムまみれ、木々は折れ、壁はスライムや魔弾によって破壊され、たくさんの兵士が倒れていた。


「はぁ、はぁ、遅かったな、ぶたぁ」


汗を拭い、仇敵をパトは睨みつける。


「お、お、か、み、が、あああああ!!」


三男も怒りに震え、振り絞った声が滲み出る。


「結婚式があげられねぇじゃねぇか!ぶっ殺すぶひぃ!『大豚(ダイトン)』!吸引力はかわらねぇ!」


こうたろうの部屋で見た時よりも遥かに強い力で、三男は息を吸い込んだ。犬の魔女から奪った魔石が輝き、折れた木や倒れていた兵士、散らばったスライムたちが次々に吸い込まれていく。


「ちっ」


ぱとは石鎚を地面に叩きつけ、地面に固定する。


「ぐちゃぐちゃになれぶひ!!負け犬があああ!!」


四肢を地面に突き刺し、さらに口を大きくあける。


「『大大豚(ダイダイトン)』!!」


「や、やだああああ」


「さん、三男様、おやめくださいぃ!!うわあああ」

次々に衛兵たちが吸い込まれていく。


「プヨ!」


「マカセロ!!」

パトやこうたろうの足に巻き付き、地面深くにスライムの身体を撃ち込んだ。


「埒が明かないぞ、これじゃあ!」

砂煙から、眼を守りつつ、パトが叫ぶ。中庭は暴風が吹き荒れ、遂には城壁さえも吸い込まれ始めた。こうたろうがいる場所も危ない。

「逃げろ!コウタロウ!」


「…だ。…を…して…」

「パト!コウタロウカラ、レンラク!」


足元のスライムが叫ぶ


「サクセンガアル」

「作戦だぁ?」

「パトはトバサレナイヨウニ、フンバッテテ!」

三男は今の風の魔法を使うために、地面に手足を固定している。

「後ろに周り込めばっ」

しかし、足を踏み出そうとした矢先に、城壁が崩れてしまった。いくら壁に吸着していたとしても、その壁自体が吹き飛ばされてしまったら元も子もない。ふわりと浮かび上がる身体。踏ん張りが効かない。このままでは容赦なく瓦礫とともに三男に吸い込まれぐちゃぐちゃにされてしまう。


「プヨォ!!」


スライムに叫ぶ。


「チュー子の宝玉をよこせ!!」


「マ、マホウツカエナインデショ!!」


「お前が宝玉の魔力を吸ってあいつの口よりでかくなるんだよ!!」


吉備津丸でぷよたろうからこぼれ落ちた宝玉を貫き、そのままぷよたろうに突き刺した。


「増殖しろぉ!ぷよぉ!!!」


デュポン!!

風呂場で、排水溝が詰まったかのような、音が中庭に響いた。


「が、あが、息が、があ!」


暴風は収まったが、こうたろうはそのままでかくなったぷよたろうにぶつかり、地面にはね飛ばされた。


「痛っ」


口を限界にまで開けた三男の口に巨大なスライムが収まっていた。豚の顔色は見る見る青くなっていく。


「ぷよたろう!離れてやれ」


「デモ」


「いいから。」


「パトさん。こいつを縛りあげよう。」


「…こうたろう!俺はこいつを許せねぇ」


「俺もこいつをゆるしてやるつもりはないよ。だけど、まだ、次男と長男がいる。桃や魔女たちの手がかりを知ってるかもしれない。娘さんを助けにきたんだろ」


「…っくそ!」


パトはそう言いつつも、口から魔石を取り出し三男を魔法で拘束した。


「ぷよたろうも大丈夫か?」

「ブタノクチノナカ、モウコリゴリ」

「ははっ、すまなかった」

「宝玉も傷はいったが、なんとかまだ崩れていないな。」



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