スライム太郎11
「スライム太郎だぁ?いきがってるんじゃねぇよ。やつらを捕まえろ」
城内から中庭に兵が集まってきた。
「ぷよたろう!こうたろうのアイデアやってみるぞ」
「コイ!パト!!」
パトは石鎚を担ぎ、思いっきり近くのスライムを踏み込んだ。
「3ジノホウコウ!」
「ああ!!」
パト自身の脚力とスライムの弾力によって、目にも止まらぬ速さで、敵に近づく。残るのは黒い影のみ。
「跳弾狼!!」
「は、はや」
石鎚に速さを乗せて、振り抜く。衛兵は鎧は砕かれ、壁に叩きつけられた。
「な、なんて威力だ…」
「盾を、盾を持ってこい!」
衛兵たちは慌てだす。
「ぷよたろう!速度をあげるぞ。こうたろうを巻き込まないように。打ち出す方向はまかせる」
「パトがキメタホウガ、」
「…オレはお前も信頼してる。心配するな、打ち漏らしはしない。頼むぞ」
誰かから期待されるという経験が今までなかったスライムは感動で胸が震えていた。
「ワカッタ!!!」
「「跳弾狼・千本ノック!!」」
パトは中庭に散在するぷよたろうを次々と踏み、敵を蹴散らしていく。
「これは俺の出番ないんじゃないか」
黒い閃光になりつつある2人の活躍を見て、こうたろうは苦笑した。
「ち、おれだって!」
衛兵の1人が真似をしてスライム踏み込んだ。が、あっという間に弾かれて、バランスを崩しふきとばされた。
「無理無理。あれは、パトさんの筋力とバランス感覚があって、初めてできる芸当だ。娘さんを助けるためにした努力は無駄にはならないんだよ、さていくぜ」
俺は俺の役目を。足の裏に着けたぷよたろうで、壁を走る。
「やつらを魔弾で焼き払え!!」
「させっかよ!!」
城壁の内部からパトを狙って魔弾を撃とうとする兵士を切り倒す。パトの体力にも限りはある。彼の負担をできるだけ減らすのが俺の仕事だ。あんな所からも狙ってやがる。見ると物陰から、弓矢でパトを狙う兵士が見えた。遠い。なら!
「ぷよたろう!」
「ワカッタ!コウタロウ!」
ぷよたろうが足もとから離れ、刀を包み込む。吉備津丸で敵を切る際に奪った魔力をぷよたろうに付与する。スライムの身体が活性化し、体積が増える。その増えた一部分が空中に水滴の様に舞う。
「天下無双流…燕返し・改」
おれだって、桃と同じ道場に通ったんだ。負け越してはいるが、いつか超えてやる。
「飛燕・スライム切り!!」
狙いを定め、一気に刀を振る。空中にあったスライムの塊を、刀にまとったスライムで切りつけることにより、スライム同士の跳弾力で加速した弾が、燕のように飛翔し標的を仕留める。桃に敵わないところは知恵と工夫で、超えてやる。これがおれの戦い方だ!




