スライム太郎⑨
「あんだけ牢屋の中でぼろくそに言っていたのに。ワン子ちゃんは素直じゃないね」
「ワン子言うなし!」
「ガッハッハッ!やれ、足がくせぇだの、ガサツ過ぎるだの!いいたい放題だったよな」
「なっ…」
「…ちょっとあんたら、まだ敵の手の中なの、忘れてない?」
馬の魔女が、振り向きながら叫ぶ。彼女はすんでのところで振り落とされた斧をかわした。
「ラッーシュ!どこだー!!ラーッシュ!」
「パパの声だ!パパー!!」
犬の魔女がかけ出す。だが、桃は気づいた、探しに来たにしては声の調子がおかしい。
「ラッーシュ!どこだー!!ラーッシュ!逃げろぉ!!!」
犬の魔女の目の前で、パトは荒れ狂う竜巻に飲まれてしまった。
「パパー!!!」
「はぁ、はぁ、ペッ、はぁ、狼の一族はさっさとぶち殺しておけばよかっただぶひ」
彼女達がでた出口の先では既に激戦が行われていた。
数十分前
「魔女が脱走だぶひ!?」
「は、はい!現在地下牢を脱走し、地下3階まで上がってきてます。」
「ほ、報告!」
「次から次になにぶひ?!」
慌てて王の間に入ってきた警備兵はの顔には、深い切り傷があった。
「あのオオカミがやってきました!」
「あいつは、突っ込んでくるだけの単純バカぶひ」
「い、いえそれが、人間とスライムを連れてきており」
「はぁ?たかだか、モブに手間取ってるんじゃないぶひ。お前たちは、僕たちの眷属、主人公の血をひいているんだぶひ!」
「た、戦い方が、変幻自在で、中庭まで侵入されています」
「もういいぶひ!おいお前!」
三男は壁際に控えていた仮面の女に声をかける。
「なんでしょう?王様?」
「イノシシの魔女を見張るぶひ!この魔女を奪われるわけにはいかないぶひ!」
「…はい、かしこまりました!」
「僕が直接叩きのめすぶひ!今度は四肢をもぎ、再起不能にしてやるぶひ!近衛兵!魔女を抑えにいくぶひ!魔女と言えど宝玉は我々の手のうちにあるぶひ!負けることはゆるさんぶひぃ!」