スライム太郎②
「あと、3時間しかない。なぁ、パトさん。あんたが今までアイツらと戦って気づいたことを教えて欲しい」
今はとにかく時間が惜しいが、情報も必要だ。三匹の子豚。おれの知ってる物語と全然違う。長兄が西遊記に出てくる猪八戒みたいだったり、モテモテだったり。どうなってるんだ。
「…兄弟達が出払っている今がチャンスだろう。あの三男だけでも、厄介だが」
「シロノツクリハドウナッテル」
スライムも話に参加する。
「三男がレンガで作ってる城壁が堅固で、おれの石槌じゃあ、こっちが割れてしまう。表面も加工がしてあって、登りにくいし、城壁の上から狙いうちにされてしまう」
「狙い撃ち?この世界には、銃があるのか?あ、弓矢みたいな飛び道具なのか」
「ジュウ?知らんな。ほかの物語ならあるかもしれないが、あいにく俺は世界を渡れないからな。弓はある。あと、豚ほどではないが、火の玉を飛ばしたりする簡単な魔法もある。使えるのは衛兵ぐらいだが」
「水まんじゅう!質問があるんだが、」
「コウタロウ!オレニモナマエガホシイ」
「は?」
「コウタロウヤ、パトミタイニ、ナマエデヨンデホシイ。ナマエツケテ」
「ちょっといまは、」
いいかけて俺を、パトは制する。
「…コウタロウ。名は大事だ。俺も娘の名は考え抜いてつけた。スライムお前は希望があるのか?」
「オレハコウタロウ二、ツケテホシイ」
スライムを見つめる。う〜ん。名前をつけるなんて事は今までやったことないから正直どうしたらいいのかわからない。粘性魔獣スライムンとかいったら怒るかな。この世界の奴ら、たしか、『タロウ』に思い入れがあるみたいだからな。せっかくだから、つけてやろう。ここは呼びやすく
「じゃあ、ぷよたろうで。たぶん、咄嗟に呼ぶ時はプヨって呼ぶかもだけど」
「プヨタロウ!オレハプヨタロウ!コウタロウにナヅケテモラッタ!」
ぷよぷよと喜び弾むスライムに肩をすくめる。気に入ってもらってよかった。
「じゃあ、プヨタロウ、あらためてよろしくな」