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三匹の子豚④
「桃ぉ!」
手を伸ばすも、既に豚の口は閉じられていた。
「ブーヒッヒ!お嫁さんゲットだぶひ!」
「桃を返せ!ブタ野郎」
にたにたと笑うだけだった豚は突然
「ぶひ!あ、兄者分かってるぶひ!ケツをつつかないでほしいぶひ!残念だけど、時間切れだぶひ!」
拳を握り、殴りかかるが、豚は消えてしまった。
「くそっ!」
「も、ももさん、わたしなんかを、たすけて。たすけたせいで、ももさんが」
ちゅーこはその場にへたりこんでしまった。
「おい!」
ローブを掴み、うなだれていた魔女を掴みあげる。
「桃を連れ戻しにいくぞ。」
「む、む、むりです。こうさんは、さ、三匹の子豚の話を知らないんですか?」
「はぁ?三匹の子豚って、」
「そ、そうですよ!」
たしか、三匹の子豚がいて、めんどくさがりの長兄は藁の家、次兄が木の家を作ったけど、オオカミに吹き飛ばされてしまう。末弟はコツコツとレンガの家を作り、頑丈なその家はオオカミの攻撃にたえて最後はオオカミが諦めて逃げるみたいな。
「な、なにを言ってるんですか?!三匹の子豚はそんなお話じゃありません」
「は?」