村攻防戦
家の外で魔法の練習をしていると、若い男の人が大声で叫んでいた。
「魔族が攻めてきたぞ!」
そんな!やっぱり国境付近の戦いだけではないのか。
とりあえずじいちゃんたちに知らせに行かないと。
「じいちゃんばあちゃん! 魔族が来たって!」
「わかっておる。ショウは戦いに行くのかい?」
「うん。少しでも手助けできるように魔族のところに行くよ」
「わかったよ。気をつけるんじゃぞ」
「ありがとうじいちゃん」
「無理をしちゃいけないからね」
「うん。ばあちゃんも気をつけて」
シュンは家を飛び出し、魔族のもとへ向かった。
しかし、その様子を物陰から覗く者がいた。
「……」
その人の手には、松明が握られている。
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早く魔族のところへ! ……あそこか!
4人の村人がそれぞれ武器を持ち、魔法を使いながら戦っていた。
「手助けします!」
「助かる! 相手は2人。だが、強力な魔法を使ってくるぞ」
1人の魔族が、村人に向かって魔法を放った。
「【中級紫魔法】[パラライズ]」
「しまった! 痺れて動けない!」
「【初級赤魔法】[レッドボール]」
「ぐはっ!」
その村人がダメージを受けてしまった。
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[パラライズ]
少しの間、一定領域の対象を痺れさせる
紫魔力によって時間・範囲が変化
[レッドボール]
球状に魔力を込め、放つ
攻撃力・赤魔力によって威力変化
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早く回復させないと。
「[ヒー…
「[パラライズ]」
[ヒール]を使おうとしたが、魔族に邪魔をされてしまった。
「[レッドボール]」
「うわ!」
すかさず、もう1人の魔族も攻撃をしてきた。
くそ! あの2人、しっかり連携が取れてて強い!
「こんな子どもまで戦争に参加させるとはな。不甲斐ない大人どもから倒そう」
「やめろ!」
僕は叫んだが、聞いてもらえるわけもなく4人とも瀕死の状態になってしまった。
「そんな……」
「最後はお前だ」
そういって、魔族がショウに攻撃をしようと歩き始めた。
ここでショウは、不思議なものが漂っていることに気づく。
淡い光を放ちながらも実体は無く、ふわふわと周囲を回っている。
なんだ?……何かいるのか?。……ぼやけてて何かよくわからない。
だけど、なぜか力が湧いてくる。よく分からないけど、これなら……。
[ポイズン]!
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[ポイズン]
対象の生命力を徐々に減少させる
紫魔力によって減少量変化
[ヒール]で回復できる
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「ぐ! 何だこれは!」
「無詠唱だと! そんなことができるのか!?」
「……一旦ここは離れるぞ」
「もう1人は……どうする」
「……やることやったら戻るだろう」
「わかった」
そういって回復薬を飲みながら退いていった。
よかった……。あ、早く4人を回復させないと。今ならあれができるかも。
「【中級黄魔法】[エリアヒール]」
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[エリアヒール]
一定領域にいる対象を回復することが出来る
黄魔力によって回復量・範囲が変化
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しばらくすると、みんなが目を覚ました。
「ありがとな!ショウ!」
「いえいえ。出来ることをやっただけなので。」
魔族を退けたことなどを話していると、1人が村の方を指差して言った。
「村の方、煙出てないか?」
僕は悪い予感がしたので、急いで家に向かった。
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「そんな……」
家が燃えていた。2,3件燃えているが、そのうちの一つは既に真っ黒になっている。
「早く火を消すんだ!」
「川から水もってこい!」
叫んでいる人がいたが耳には入ってこなかった。
真っ黒な家というのは、……自分の家だった。
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村攻防戦
負傷者:数名
死者:2名
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