特訓
「ショウ! 大丈夫か!?」
戦闘が終わるとじいちゃんが駆け足でやって来た。
「大丈夫だよ。紫魔法も使えたし」
「すごかったのお。どんな魔法なんじゃ?」
「【初級紫魔法】の[ポイズン]だよ。一定のダメージを与えるんだけど紫魔力によってダメージ量が変わるんだ」
「なるほどの。ショウほどの魔力なら一瞬ということか」
「そうだよ。まあ、運が良かっただけだけどね……」
その日の夜は祭りのような騒ぎだった。
魔物を倒すことが出来たということと、ショウの活躍を祝うためだ。
「ショウのおかげだよ!」
「ありがとうな!ショウ!」
たくさんお祝いされる本人は、ただ喜ぶのではなく少し不安を感じていた。
もっと魔法が使えていれば戦っていた4人は怪我をしなかったのではないか。もっと練習をしよう。
そのために町に行って[ヒール]を使いまくるんだ。そうすれば熟練度が上がるはず。
ーーーーーーーー次の日
昼前から町に行き黄魔法の練習を始めた。
怪我をしている人を探して[ヒール]。探して[ヒール]。探して[ヒール]。[ヒール]。[ヒール]。[ヒール]。……。
「ふぅ。疲れた」
流石に一日中魔法を使うのは疲れる。
怪我人を見つけることは難しくなったので、途中から無差別に[ヒール]を使うようになっていた。
町中を歩いたせいで足にも疲労が溜まっている。帰って早く寝よう。そしてまた明日も……。
この町に新たな都市伝説が生まれた。
『外を歩くと病気も怪我も全て治り、元気になる』と。