習得
図書館で魔法の基本について勉強した次の日、朝早くから魔法の練習を始めた。
まずは身体の内側にある魔力を感じることから始めよう。
「ふぅー」
……おっ。これが魔力か。
黄と紫がSもあるため、自分の中に膨大な量の魔力があるのを感じていた。
逆に魔力がEだった赤や青などは全く感じることができなかった。
次は魔力を動かしてみよう。……うーん。難しい。少しは動いていると思うけどな。
この日からショウは毎日のように魔法の特訓を始めた。
日に日に上達していき、数日で[ヒール]を使うことができるようになった。
ーーーーーーーー『祝福』から半年後
村近くにある森から一人の青年が焦った様子で走ってきた。
その後ろには、緑色の小人のようなものが5体ほどいる。
「ゴブリンだ! 戦えるやつは集まってくれ!」
走ってきた青年が声をかけると、何人かの大人が農具などを持って出てきた。
しかし、この小さな村には戦えるものは少なく4人しかいなかった。
「僕も手伝います。[ヒール]を使えるのでそれで支援します」
「子どもを参加させたくないが、この状況では仕方がない。たすかる!」
こうしてショウは初めての実践を経験することとなった。
ーーーーーーーー
「やはり数の不利は厳しいな」
ショウの魔法によって倒されることはないが、倒すこともできない。
紫魔法の練習もしておけば良かったと後悔してもしょうがない。今はできることをやろう。
「ぐはっ! 足をやられた!」
「うぅ……。頭を殴られた!」
同じタイミングで2人がやられてしまった。
[ヒール]は1人ずつしか回復させることができないため、少しの時間2人でゴブリンの相手をしなくてはいけない。
そんなことが出来るわけなく、残りの2人も攻撃を受けてしまった。
「ギギィ……」
「ギィギギ……」
やばい! こうなったら一か八か。紫魔法を使おう! 落ち着いてやればきっと出来る。
「ふぅ。よし、行くぞ。[ポイズン]!」
ショウの手から紫色の液体が飛び出しゴブリンにかかった。すると、ゴブリンが一斉に苦しみ出し膝をついた。
「ギャ! ギャ! ギギ……」
「ギギィ……」
1分もしないうちにゴブリンは全て倒れ、ショウの初めての戦闘は勝利という形で終えた。