報告
ショウ達は、いつもと同じようにグラウンドでトレーニングに励んでいた。
「頑張っているね〜」
「珍しいな。シオンが来るなんて」
「……ちょっとな。あいつらと話をしてもいいか」
「いいぞ。おい!一回トレーニングをやめろ!」
ショウ達はトレーニングをやめ、近くのベンチに腰掛けた。
「どうしたんですか? シオン校長」
「ミウのことで報告がある」
!?
「……すまなかった。ミウを助けられなかった」
「どういうことだ! 任せてくれって言ったじゃないか!」
「その通りだ。本当に申し訳ない」
「詳しく教えてください。ミウがどうなったのかを」
「ミウが魔族の国に……」
「必要な物は持たせたって言っても、魔物が出るんだろ。大丈夫か?」
「ミウを信じるしかないな」
「この程度しか手助け出来ずに、申し訳ない」
シオン校長は頭を何度も下げ、僕たちに謝った。
「頭を上げてください。出来ることをしていただいただけでありがたいです」
「そう言ってもらえると助かる」
ショウは納得したが、カイトはそうではなかった。
「やっぱりミウを助けに行こうぜ」
「いや、それはダメだ。国境付近での警戒が強くなっている」
「今もこうしてる間に、ミウが死んでしまったらどうするんだ!」
「大丈夫だ。安全は確保してある」
「どういうことだ?」
「詳しいことは教えられないが、とにかく死ぬことはない。だから、今は力をつけることに集中してくれ」
「それしか、僕たちに出来ることはないということですか」
「そうだ。とりあえず、クランランクをSにしなさい。そうすれば、魔族の国に行くことを許そう」
学校内にSランクのクランは2つしか存在していない。それほどSランクになるのは難しいのだ。
「Sだと!? どれだけ時間がかかるんだ!」
「それほど強くないと、送り出すことはできない」
「……やろう。やるしかないんだ」
「そうよ、カイト。ミウのためにも、早く強くなるの」
「……わかった」
「私が校長で、君たちに事情があったとしても贔屓することはない。ちゃんと力をつけてSランクを目指すんだ」
「はい!」
ショウ達は再び、ルーク教授の指導の元トレーニングを開始した。
今までは、ただ強くなろうとしていた。しかし今は、明確な目標を持って強くなろうとしている。
『星火燎原』はさらに強くなる。
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