事件
ミウは、人生で最も楽しい時間を過ごしていた。
ショウくんに出会えて本当によかったな。一緒にご飯を食べたりランクマッチで戦ったり、こんな学校生活を送れるなんて思ってなかった。ママには、「差別がひどいから気をつけて」って脅されてたんだけどな。
ホント、ショウくんのおかげだ。……こんな時間がずっと続いてほしいな。
最近は一緒にいる時間が多いからか、ふとした時にショウのことを考えるようになっていた。一緒にいる時、気づいたら目で追っている。
「はあ…」
自然とため息も出てしまう。こんな事今までなかったのに。
ミウが授業を終えて寮に戻る帰り道、それは起こった。
「んぐっ!」
いきなり口を押さえられ、目隠しをされたのだ。腕や足を縛られないように必死に抵抗するが、それもかなわず身動きが取れなくなった。その後、袋のようなものに入れられ連れ去られた。
「ミウ、遅いわね。」
時刻はすでに午後8時を回っていた。
「ショウは何か知らないか?」
「僕にも全くわからない。連絡もつかないし、どうしたんだろう」
ショウ達は、心配になり部屋や食堂、コンビニや講義棟などいそうなところを隈なく探した。
「そっちはいたか?」
「いないわ」
「こっちもいなかった。いったい、どこにいるんだ?」
ミウが見つからずに不安になっていると、学生に向けて一斉に連絡が届いた。
##緊急連絡。何者かにより、1人の学生が連れ去られました。全学生は速やかに寮へ戻り、部屋をしっかり施錠してください。##
「この学生って!」
「ミウのことか!?」
「念のため校長に連絡してみよう」
読んでいただきありがとうございます!!
評価・ブックマークをしていただけると、とても励みになります!




