複合魔法
ルーク教授は、人が変わったかのようなテンションだった。
「ぜひ、私の手伝いをしてくれないか!! いや、するべきだ! ショウくん!」
「……わかりました」
「おお! ありがとう!! では早速外に行こう!」
ショウはルーク教授の研究欲に圧倒され、つい承諾してしまった。2人は魔法の使用が許可されている広大なグラウンドに来ていた。
「私が今、最も力を入れている研究は複合魔法だ。複合魔法とは、2色以上の魔法を同時に行う新たな魔法のことだ」
「教授自身が魔法を使い、研究することはないんでしょうか」
「私の魔力は全てがDなんだよ。初級青魔法の『ブルーボール』しか使えないし」
「そうなんですね」
「誰かに協力してもらわなくては研究を進められなかったんだよ。だから、本当にショウくんには感謝しているよ」
「いえいえ。複合魔法を使えるようになれば、僕も強くなれてWIN-WINですからね」
まず、ルーク教授が基本的な魔法の原理について話し始める。
「魔法は、使用したい色の魔力を体内で感じ体外に放出するものだ」
「はい。これは本で読んだことがあります」
「うん。複合魔法はこれを2色同時に行う。そうすることで体外に放出する魔力が2種類になり、新たな魔法ができるということだ」
「なるほど」
「一度に2種類の魔法を使うため、熟練度が高くなくてはいけないと考えたのだ。具体的には2種類の上級魔法を使えること」
「それで僕に目をつけたということですね」
「そういうことだ。それでは、始めるぞ」
「はい」
「まず、2種類の魔力を感じてくれ。ショウくんは黄と紫だね」
「……はい。感じました」
「それを手に集めるんだ」
ショウは、頭の中で魔力を動かすイメージをしているが2種類同時に動かすことは簡単ではなかった。
「……うーん。ちょっと難しいですが、出来そうです」
「慣れないことをしているのだから、上手くいかないのは当然さ」
「……魔力が集まってきました」
徐々に黄色と紫色の光がショウの手に集まり始めた。
「それでは、[エリアヒール]と[パラライズ]を合わせた魔法を私に向けて放ってくれ!」
「……はい」
しっかりイメージするんだ。[エリアヒール]と[パラライズ]。[エリアヒール]と[パラライズ]。[エリアヒール]と[パラライズ]。……。
するとルーク教授を中心とした、黄色と紫色の光を放つ半球状の領域が現れた。
「おー!! [エリアヒール]による回復効果と[パラライズ]による痺れも感じることができるぞ! これは成功だ!!」
「やった!」
「慣れれば相手には[パラライズ]の効果を与え、味方には[エリアヒール]で回復をさせることができるようになるはずだ。名付けて[療痺領域]!」
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[療痺領域]
一定領域内の味方を回復、敵は痺れさせる
黄魔力と紫魔力によって回復量や効果範囲が変化
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