不審な動き
ーーーーーーーー人族の国「リアリス』にて
国王は王室で1人、憤慨していた。
魔王め。何を考えているのだ!
平和になどなって仕舞えば、魔族の国を支配することができなくなってしまうでは無いか!
何か、魔族との火種になるようなことを起こそう。……国立魔法学校の学生でも連れ去って、魔族のせいにしようか。
ここで王は、1人の手下を呼ぶ。
「おい! いるか?」
どこからともなく、いきなり1人の男が王のすぐそばに現れる。
「お呼びでしょうか」
呼ばれたものは黒のローブを見に纏い、フードを深く被っているため表情を見ることはできない。声からして男性であろう。
「魔族になりすまし、学生を連れ去れ」
「お任せください」
「派手に行えよ」
「はっ」
そうしてローブの男は音もなく立ち去った。
ーーーーーーーー魔族の国『ハーデス』にて
そこは美術館のようだった。たくさんの絵画や骨董品が並び、その全てが高級なものであることは明らかだ。
だがそこは美術館ではなく、人の住む家である。
その家主である男もまた、魔王に対して、怒っていた。
全くペトラは一体どういうつもりだ。人族との平和だと? そんなことは許さない。
戦争があるからこそ金が手に入るのだ。そうでなければ、芸術品を揃えることが出来なくなってしまう。だから、平和になどさせない。
だが、あのスピーチを聞いた国民の反応を見ると、人族との平和は望まれていたことだったと思われる。
人族など、クソであると思わせなくてはいけないな。
どうするべきか……。
ーーーーーーーー
ショウはシオン校長との話を終え、寮に向けて歩いていた。
まさか、魔王が人族との平和を望んでいるなんてな。俺の父は、どんな人なんだろうか。
聞いた話を振り返っているうちに、自分の部屋に到着した。
ふと、郵便物を確認すると手紙が入っていることに気がつく。
ーーーーーーーー
ショウへ
ランクマッチの勝利祝いのパーティーをしよう! だから、帰ってきたら連絡してくれ!
俺たちは、それまで買い出しに行ってくる。
『星火燎原』の仲間達より
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「……あいつら」
ショウは笑みを浮かべつつ3人に連絡し、パーティーを楽しみに待つのだった。
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