新魔王の誕生
試合開始の30分前に特別演習場に着くと、入学式で話をしていたシオン校長がいた。
対戦相手のクランはまだきていないらしい。
「君たちが『星火燎原』だね」
「そうですけど、わざわざ校長が立ち会いをしなくても良いのではないですか?」
「まあね。でも、君たちに興味があって見に来たくなってしまったんだ」
「はあ」
校長は僕たち全員の顔を見ながら話をする。
「入学直後にクラン設立。しかもメンバーはミックスと人族。こんなクランは初めてだよ。これは、校長としてしっかり見届ける必要があると思ったんだ」
「よく、僕たちのクランに人族とミックスがいるってわかりましたね」
「私は校長だよ。私ほどの権限があれば全生徒のステータスを見ることは簡単なんだよ」
「!?」
ショウは焦りを感じていた。
クランメンバーには、まずいと思って隠したものまでこの校長には見られているということか!
「ショウというのは君かい?」
「……はい」
「ひとつ気になることがあるんだが……」
不安から、鼓動がはやくなるのを感じていた。
校長は僕の正面に立ち、真剣な面持ちで聞く。
「君は何者だい?」
ーーーーーーーー魔族の国『ハーデス』にて
その日は国全体で祭りが行われているようだった。
それもそのはず。魔王城にて新魔王のお披露目があるからだ。
一週間前より城下町には国中から魔族が集まっていた。
「新しい魔王様ってどんなお方なんだろうね」
「早くこの目で見たいわ!」
「先代のように強い方なんじゃないか」
「若い時はやんちゃしてたらしいわよ」
「俺も聞いたことある! 勝手に1人で世界中を歩き回っていたらしいぞ」
「俺が聞いたのは1人で小さな国を潰したって聞いたぞ」
「妻が何人もいるって噂もあるぞ!」
町では様々な憶測が飛び交っていた。
すると、魔王城からマイクを持った司会者が出てきた。
「みなさま、お集まりいただきありがとうございます。只今より、新魔王様のお披露目を行いたいと思います。また、本日司会を務めさせていただくのは私、ジョセフでございます。よろしくお願いします」
そのころ魔王城の中では、黒髪をオールバックにした新魔王と、白髪で頭から角を生やした先代からの執事が話をしていた。
「ぼっちゃん。しっかりとした姿を見せてくださいね」
「セバスよ。その呼び方はよせ。魔王になるのだから」
「確かにそうですな。失礼しました、魔王様」
魔王が小さい時からセバスは見てきており、親しい仲だった。
「私の考えは国民に理解されるだろうか」
「すぐには難しいでしょうな。ですが、必ずや実現できるはずです」
「ありがとう。そうだな。我が生涯をかけて叶えよう」
すると、魔王のいる部屋に1人の召使いが入ってきた。
「魔王様。準備ができました。国民へ挨拶をお願いいたします」
「うむ。いま行く」
魔王は、セバスを連れて部屋を出る。長い通路を歩き、歓声の聞こえる方に向かい進む。
「それでは待ちに待った、新魔王様のお披露目となります!」
「「「「おーーー!」」」」
「「「「キャーー!」」」」
直接魔王を見ようと集まった民衆は、司会の言葉に乗せられて最大の興奮状態にいた。
「登場していただきましょう! 新たな魔王!
……ペトラ様!」




