入学式前
獣族が差別されていることは、人族にとっては当たり前だった。
人族こそが一番であり、他種族を見下すように教育されているからだ。
しかしこの考えは、辺境に行くほど薄れていき、ショウの村では無かった。
商人の荷台で揺られながら、ショウは女の子に尋ねる。
「どうして都市部に行くの?」
「国立魔法学校に行くためだよ」
「そんなんだ。僕もそこに行くんだよ」
「ほんと! 1人は不安だったけど少し安心した」
「一緒に行こうか」
「はい!」
「僕はショウ。よろしく!」
「私はミウ。こちらこそよろしくね」
話を聞くと、正確にはミウは獣族ではないらしい。猫系統の獣族の父と人族の母とのミックスということだった。
ミウが小さい頃に、父は病気で亡くなっており、女手一つで育てられたみたいだ。
「実は僕も人族じゃないらしいんだ」
「そうなの?」
「でも、会ったことが無いから何の種族かわからないんだよね」
「基本的にミックスは父方の種族が現れるから、ショウくんはお母さんが他種族なんじゃ無いかな?」
「なるほど……」
それはおかしい。
教会で『祝福』を受けたときにどちらも人族では無いと言われた。
人族ではあり得ない、魔力Eもある。
「うーん」
「どうかしたの?」
「ん? いやなんでもない。あ、そろそろ着きそうだよ」
都市についたのは、空が赤く染まり酒場の明かりがつき始める夕方だった。
「明日が入学式だけど、ミウは宿とかどうするの?」
「これから探すつもりなんだけど……」
獣族への差別があるため、ミウ1人で宿を取ることは難しいように思えた。
「一緒に探すか」
「いいの?」
「もちろん」
運良く国立魔法学校の近くに宿を見つけるとことができ、それぞれ1部屋ずつ借りられた。
「じゃあまた明日ね」
「うん。また明日」
ショウは食堂で夜ご飯を食べ、部屋に戻り少し魔法の練習をしてからベットに入った。
「明日から学校か」
ショウは、新しく始まる生活に期待と不安を感じながら眠りについた。
ーーーーーーーー次の日
ミウと一緒に宿を出て学校に向かった。
学校関係者と思われる人がおり、その人の案内に従って入学式の会場に入る。
「こんな人数がいるのか」
新入生と思われる人がたくさんいた。その数なんと、1万人。
適当な場所を見つけ、ミウとともに席に着く。
「国全体から集めると、こんなにも学生がいるんだな」
「とても多いですね」
しばらく2人で話していると横から声をかけられた。
「隣いいか?」
そこにはかっこいい感じの男の子と、しっかりしていそうな女の子がいた。
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