それぞれの思い
雨の降る肌寒い日だった。
その日は、それぞれの国や地域で葬式が行われた。
人族の国『リアリス』では勇者など戦死した者のために。
魔族の国『ハーデス』では魔王など戦死した者のために。
僕の村では、じいちゃんとばあちゃんのために。
ーーーーーーーー小さな村にて
じいちゃん。ばあちゃん。僕を育ててくれてありがとう。
みんなを守れるように、もっともっと強くなる。
誰も悲しまない世界にする。
……もうこんな思いはしたくない。
ーーーーーーーー魔族の国『ハーデス』にて
なぜ戦争をしなければならないのか。
こんな犠牲を出してまで、魔族の国を拡大する意味はあるのか。
何世代にも渡って争い続けるよりも、共存できる世の中を目指す方が良いのではないか。
しかし、どうすればいいのか……。
ーーーーーーーー人族の国『リアリス』にて
まさか勇者、魔王の相討ちとは。勇者を失ったのは痛いな。扱いやすい奴だったんだが。
次こそは勝つ。
まずは新たな勇者を探し出し、育てなくては……。
ーーーーーーーー
それぞれ思いを抱き、世界が動き出す。
待ち受けるのは破滅か隆盛か。
時代は大きく変わってゆく。
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