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交通事故の後に何が見えたか  作者: きつねあるき
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第2部~交差点に供えられた花

 皆様は、交通事故の瞬間(しゅんかん)を見た事がありますか?


 出来れば見たくはないですよね。


 しかし、現実には毎日どこかで起こっているのです。


 不幸にも交通事故で亡くなった方の為に、事故現場の周辺に、よく花が(そな)えてありますね。


 一見よくある光景(こうけい)ですが、霊感(れいかん)のある人は、あまりその花をまじまじと見ると、そこで亡くなった方の残留思念(ざんりゅうしねん)が、(まれ)脳裏(のうり)に入り込んでしまう事があるのです。


 ここからは、自分の体験談です。


 1992年(平成4年)の9月の事で、当時、自分が20才でした。


 午後7時過ぎ、蔵前橋通りを東京から千葉方面へ向かって、車で走っていました。


 途中、大通りの交差点に差し掛かった所で、前方の信号が赤に変わったので、停止線のところで停まりました。


 自分の車は、交差点の先頭で信号待ちをしていました。


 いつもなら、気付かずに過ぎていたのでしょうが、その交差点に、自分から見て右側の歩道の(すみ)に、花が供えられているのが見えました。


 花は、ビンに入れられてる物と、花束で置かれている物がありました。


「誰か、事故でもしたのかな?」


 とか、思いながら、その花をまじまじと見ていると…、


 自分の脳裏に、スーッとその事故の様子の映像が、見えてきたのです。


 夜の7時過ぎというと、辺りは大分暗くなっていると思います。


 しかし、自分の脳裏に入り込んできた映像(えいぞう)は、夕暮(ゆうぐ)れ時のような、今より明るい光景でした。


 その光景を(しばら)く見ていると、交差点に供えられた花の前に、無数の細かい破片(はへん)が散らばっているのに気付きました


「この破片は、ここで事故にあった方の、車かバイクのフロントライトのカバーか何かが割れたものかな?」


 …と、思っていると、自分の右後方から(もう)スピードで走ってくる、バイクがいるではありませんか!


 そのバイクが、自分の車を追い()して、大通りを右折した瞬間、2トン位のトラックが、前方の大通りの右側から飛び出して来て…、


「ド-ン、ガシャーン」


 …と、いった音でバイクと衝突(しょうとつ)して、バイクがライダーとともに、後方に投げ出されました。


「パァァ-ン、ガガガガ--、シャァァァー、ガシャーン」


 …と、いった様な音を立ててバイクが(たお)れ、フロントライトのガラスが(はじ)け飛び、(いきお)いでバイクの車体が、地面を(こす)りながら(すべ)っていきました。


 そして、縁石(えんせき)に乗り上げて、やっと止まったのです。


 この一連の事故の流れが、何度も何度も繰り返えされた映像を、自分はずっと見続けたのです。


 その時です。


「パ----、パパパパパパパパ----!!」


 後続車が、クラクションを鳴らしてきました。


 はっ!…と、(われ)に返りました。


 さっきまで見えていた事故の光景は、見えなくなりました。


 大きな残骸(ざんがい)も無くなっていて、無数の細かい破片だけが残っていました。


 自分は、後続車に(うなが)されて(あわ)てて車を発進させましたが、(こま)った事に夕暮れ時のような光景が、脳裏に入り込んだままでした。


 その時、自分はこう思いました。


「バイクとトラックが事故を起こした交差点から遠ざかれば、この光景を()りきる事が出来るのではないだろうか?」


 しかし、その考えは甘かったのです…。


 自分の車の、左後部座席あたりから、人の気配(けはい)がしたのです…。


「このままの速度で、走行するのははマズい!」


 …と思い、軽くブレーキを()みました。


 そこで、幸か不幸か前方の信号が赤に変わったのです。


 自分は、車を停車させると、すぐに後部座席を確認した。


 しかし、そこには何もいませんでした。


「ふっ---!」


 …大きく息を()いて、再び前方に向き直りました。


 …しかし、何か違和感(いわかん)(おぼ)えざるを得ませんでした。


 信号が青に変わり、少し走り出した時です。


 車の後部座席がどうも気になるので、バックミラーを見ると、


 ミラーの左側から、ゆっくりと中央にスライドしながら、何かが(うつ)りこんできたのです…。


 それは、先ほどの交差点で見た、事故にあったバイクのライダーの顔だったのです!


 自分は(こわ)くなり、思わずバックミラーから、目を()らしました。


 その直後、


「ガコッ、ガツン、パアァ--ン」


 と、いった音がしました。


「何だ、何事か?」


 …と、思った瞬間、自分の左手に激痛(げきつう)が走ったのです!


 (たま)らず、数メートル先に車を停車させて、ルームライトをつけると…、


 何と!自分の左手の(こう)にだけ、集中的にバックミラーの破片が刺さっていたのです!


 ライトを()けて車内を見ると…、


 バックミラーが外れて、ギアのバーにぶつかり、ミラーが(くだ)け散った…、


 と、いう事が分かりました。


 その破片が、自分の左手の甲に刺さった訳ですが、不思議な事にこの一件で、あたりの風景(ふうけい)通常(つうじょう)に戻ったのです。


 しかし、自分の左手の甲は、ミラーの破片が集中的に刺さったので、それを一気に全部()いたら、かなりの出血をしてしまいました。


 そういう時に限って、車に、箱ティッシュとか、タオルが全く無かったのです。


 ビニール袋があったので、左手を()っ込んだら、みるみるうちに血が()まってきたのです…。


 仕方なく、近くのコンビニに寄って、左回し手を後ろに回したまま、トイレを借りて、血を洗い流しました。


 その時、あまりの痛さに悶絶(もんぜつ)しそうになりました。


 鏡の破片が、まだ数個刺さっていたので、それも一気に抜いたら更に血が出て、それが熱く感じました。


 大慌(おおあわ)てで、左手に大量にトイレットペーパーを巻き付け、何とか止血に成功しました。


 車に戻ると、運転席と助手席の下には、大量の鏡の破片がありましたが、片付けるのは翌日にしました。


 自分はこの一件以来、バックミラーに亡霊が映り込まないよう、お守りをぶら下げるようしました。


 皆様も、車の運転席の近くには、お守りを置いておくといいと思います。


 運転中の不慮(ふりょ)の出来事は、怪我(けが)の元ですからね。


 それでは、この辺で第2部を終わります。

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