駅までの道のりの先に
ある夏の日の出来事です…。
その当時の自分は、職場に電車で通勤をしておりました。
ある日いつも通り仕事が終わり最寄り駅に向かってる時に
??「すいません」
後ろから声をかけられたので、後ろを振り返ると一人の女性が下を向いて立って居ました。
その日も夏真っ盛りで気温が35℃を越えていて、とても暑かったのですが、その女性はロングコートにハイヒールといった格好でした。
自分は、こんなに暑い日なのに暑苦しい格好してる人だなと考え、「どうしましたか?」と返答しました。
??「○○駅はどちらですか?」
自分「ここを、まっすぐ行ったら着きますよ」
自分「自分も、今その、駅に向かってるので一緒に行きますか?」
??「宜しくお願い致します」
自分「じゃあ、着いてきてください」
そういって2人で駅まで歩いて向かいました。
向かってる間は、自分が話しかけても彼女は下を向いたまま何も答えてはくれませんでした。
周りの人達は、怪しい人を見るような目でこっちを見ていたので、自分は彼女の服装を見て周りがそう言う目で、見ているんだなとこの時は思っていました。
駅の改札に着いたタイミングで、
自分「着きましたよ」
と伝えると、彼女は
??「ありがとう」
とだけ言い残し、自分が振り返ったときにはその場にはすでにいませんでした。
自分は、いつの間に居なくなったんだと思いながら、改札を通りホームまで降りました。
ホームで電車が来るのを待っていると、数分したぐらいで電車が来たので、早かったなと思ってみてると、先程の女性が電車に向かって飛び出したので、危ないと思い手を取ろうと身を乗り出した所で後ろの男性に
男性「バカ野郎」
と言われて自分の腕を引っ張られました。
自分「女性が飛び出したのに、何で止めるんですか?」
男性「何処にその女が居るんだよ?」
そう言われて電車を見ると、血の後やアナウンス等はなにもありませんでした。
自分「でもさっき、女性が…」
男性「お前が一人で電車に飛び込んで行ったのしか見てない」
男性「女なんか居なかったぞ?」
自分「それじゃあ自分が見たのは?」
男性「俺にはわからん」
男性「だけど、この駅で昔身投げをして、無くなった人が居るんだよ」
男性「もしかしたら、お前はその女の幽霊を見たのかも知れないな」
男性「そして、その女に見いられて、あの世に連れていこうとされたのかもな」
自分「そんな…。」
自分「でも、さっき自分が見た女性は駅まで自分が案内したんですよ?」
男性「もしかしたら、前からお前を狙ってたのかもしれないな。あの世に連れていける仲間として」
男性とその話をしてる間に先程の電車は何事もなかったように走り去って行ったので、次の電車を待ち、その電車に乗り込む際
??「お前も死ねば一緒にあの世に行けたのに…」
と女性の声が聞こえて、怖かったので扉がしまるのを待って外を見てみると、先程の女性がこちらを鬼の形相で見ていました。
結局それ以来、その女性には会っていませんし、そこの職場も辞めているので、駅も使っていません。
今でも、何だったのか分からないですけど、男性には感謝してもしきれません。
その男性は一緒に電車に乗ったのですが、何処にもいませんでした。