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第19話 娘たちがチート過ぎる

 夜まで蜂蜜樽を作ったり、薬草束を作ったり、ポーション(高品質)を作ったり、ついでに青汁(上品質)や飲◯ユーグレナも作っておいておいた。何があるかわかんないからな。

 そしてコリーナは何時もと変わらずで、ネコミミサキュバス様が毎夜降臨なされている。2ヶ月位空けるかもしれないと言った時の淡白な対応は何だったのかと言うくらいである。今日も朝寝坊しそうなくらい搾り取られた。


「うーん、あの時の淡白な対応はどういう事なんだろうか…?」

「あなた?どうなさいました?」

「いや、何でもないないよ。薬草束と蜂蜜の納品に行ってくるね。昼には1度戻るから。」

「はい、昼食は家で食べられるんですね。」

「ああ、いつも美味しいご飯をありがとう、コリーナ。」

「出来れば食後のデザートも毎食召し上がって欲しいのですが、それは我慢いたします。」

「食後のデザート?今まであったかな?」


クッキーの事じゃないよな?とか思っていたらコリーナの目が…黒目がキュッと細まった。あ、ヤバいかもしれない。


「ふふふ、なれば今から食後のデザートを召し上がってみますか?」


スススッと接近してくるコリーナ。簡単に後ろを取られてしまった。コリーナの体捌き上達し過ぎじゃね?キミの成長タイプ魔導士だったよね?暗殺者とかじゃ無かったよね?

 コリーナの鼻息がピスピスいってる。返答次第では午前中仕事にならないヤツだ、コレ。


「えっと…コリーナさん?まだ朝ですよ?」

「そうですね。」

「これからお仕事行かないと駄目なんですが。」

「そうですね。」

「もう家を出る時間なんですが。」

「そうですね。」


どこのテレホンショッキングかな?


「じゃ、じゃあ行ってくるよ。」

「ふふふ、まぁ、お待ち下さい。」


コウスケは逃げ出した!しかし回り込まれてしまった!


「今回は1時間で終わらせてみせますから。」

「………前も似たような事言って午後が丸ごと潰れた事があった気がする。」


あの時は30分だけって言ってたような…。


「あの時はあの時です。『女子3日会わざれば刮目して見よ』と申しますし。」

「いや、リズちゃんみたいな事言わないでよ。」


それに『女子』じゃなくて『男子』だよ。まぁ、コリーナはそもそも女子じゃないけど。


「何か失礼な事を考えていましたね?」

「いや?そんな事はナイヨ?」


心の中でツッコミ入れていただけです。


「それでぇ、どうなさいますかぁ?」

「む、本格的に落としに掛かって来たね、コリーナ。だけど今日はリックさんの所にも寄るから、流石に恥ずかしいんだが…。」

「うっ、それは…。」

「その代わり今日の夜は期待しているからね。俺も頑張るし。」


コリーナを抱きしめて、耳元で囁く。あんまりやり過ぎるとネコミミサキュバス様が降臨為されて説得を受け付けなくなってしまうので、ネコミミをモフるのは止めておく。


「約束ですよ?」

「善処いたします。」

「そういう玉虫色の回答は求めていません。」

「……確約いたします。」

「よろしい。」



コリーナの拘束を逃れた俺はニコラスさんのお店に2000束の薬草束を納品した。数がおかしいって?薬草束作っても作っても薬草が9999から減らないんだよ。

 ニコラスさんは、


『薬草束はアイスフィールドで保存しておくから暫く保管しても大丈夫。』


と言ったので、この数にした。流石に顔が引きつっていたが、頑張ってもらおう。保管場所は…、どうにかなるでしょ!


 リックさんのお店に行くと、いつもの様にレリアさんが店番をしていた。


「おはようございます、リックさんはいますか?」

「ちょっと出かけていますが、直ぐに戻って来る予定なので、時間があれば待たれますか?」

「ではそうさせてもらいます。リズちゃんとキャロは裏庭ですか?」

「ええ、コウスケさんにレベルを上げてもらって以来、益々冒険者ごっこに嵌ってしまったようでして。ここのところは剣術道場に通いたいなんて言い出す始末で…。」

「あー、すみません、それは私のせいですね。」

「いえ、剣術道場自体は構わないのですが、この街には剣術道場がありませんので困ってしまって…。」

「確か以前に図書館で剣術の教本を見かけたような…。」

「そうなのですか?では図書館に行く事を勧めてみます。」


レリアさんと別れて裏庭に移動していると、『ガガガガガッ』と何かを叩きつける様な音がしてきた。


「いやー!!」

「てぇーい!!」


裏庭を覗くとリズちゃんとキャロが凄い勢いで組手をしている…。2人共魔釖術使いこなしてないか?異常なスピードで動き回りながら拳を打ち合っている。あれ?格闘だと俺勝てる気がしないんだが…。幻覚でも見てるのかな?


「あっ!パパ!」

「おじ様!」


顔だけ出して覗いていたのに、あれだけ激しく組手していて良く気付いたな。キャロのスキルか?全力で魔力使うなら兎も角、近接戦闘では益々勝てる気がしないんだが…。え?ヤバくね?キャロまだ10歳だよ?


「2人とも凄すぎじゃね?」

「パパの方が凄いよ?」

「そうですわ!私達はレベルが上がっただけ、まだまだクンフーが足りませんわ、」

「功夫って…。」


ヤバい、俺に対するハードルが激高なんだが…。俺も訓練した方が良いんじゃなかろうか…。もしもキャロから


『えっ?パパ弱過ぎ…。』


とか言われたら立ち直れる気がしない。


 それにしても、コレ冒険者ごっこじゃないよね?コレもう訓練だろ。この2人ストイック過ぎるんじゃね?俺は称号持ちでブーストかかってたからステータス上げて無理矢理動いていたから不思議ではないが、リズちゃんは称号無しでこの動きだ。このまま行けば人族では敵無しなんじゃないか?まぁ、ジャックさんみたいな化物級の人(?)も居るし、ジャックさんの住んでいる付近はレベル50は欲しいっていってたからなぁ…。油断せずにこのまま鍛え上げて欲しいところである。


『"解析"』


リズ・アルビッツ

種族   人族

位階   26(31)

生命力  2210(C)

魔力量  1350(C)

力    991(C)

素早さ  1205(B)

魔力練度 890(B)

【アクティブスキル】

・剣術Lv.1

・格闘Lv.3

・魔釖術Lv.5

・高速思考Lv.4

【パッシブスキル】

・超反応Lv.4

【称号】

・なし

【加護】

・なし

【成長タイプ】

・剣士


キャロ・サカイ

種族   猫獣人族

位階   27(38)

生命力  3280(B+1)

魔力量  910(F+1)

力    730(D+1)

素早さ  1880(S+1)

魔力練度 960(C+1)

【アクティブスキル】

・格闘Lv.3

・魔釖術Lv.6

・忍び足Lv.3

・警戒Lv.3

・遠視Lv.4

・高速思考Lv.5

【パッシブスキル】

・超反応Lv.5

・暗視Lv.5

・気配察知Lv.2

・疲労耐性Lv.1

【称号】

・異世界転移者の娘

【加護】

・なし

【成長タイプ】

・弓術士

・盗賊



 おい、船務士。空手で全国ベスト4じゃなかったのか?既にスキルレベル抜かれているんだが…。

 それにしても称号のバフがあるキャロは…良くないけど良いとして、リズちゃんの強さも相当ヤバい。2人共に魔力量、魔力練度、スキルレベルの伸びが尋常でないので、相当な訓練を毎日やっているのだろうけど、親の贔屓目ではなく、この子達は才能の塊なんじゃないだろうか?


「パパ!アドバイスして!」


えっ!?マジか!?特に言う事無いんだが。明らかに辺境伯家の騎士達より強くなってるし。


「ステータスもスキルレベルも順調に伸びてるから、このまま魔釖術を使いながら格闘訓練を続ければ良いと思うよ。まだまだ伸び代があるし。ところで、魔釖術の移動はいつ練習したんだい?街の外の平原で教えようと思っていたけど。」

「あっ!?ごめんなさい…。」

「すみません…。」

「危ないからパパが見てる時に練習するって言ったよね?キャロ。」

「……はい。」

「で、どうしてそんな危険な事を?」

「ピノちゃんが手伝ってくれるって言ったから、大丈夫かなと思って…。」

「ん?ピノが?そもそもピノが何て言ってるのか分からないだろう?」

「ピノちゃん念話覚えたから普通に話せるよ?」


えっ!?全く気が付かなかった…。


「そうなのか…。ここでピノに教わったのかい?」

「うん、凄く丁寧に教えてくれて、危ない事も無かったよ。」


マジか…、俺もピノに教わりたかったわ。


「あれ?ピノはどうやってここまで来たんだ?トレントが街中を彷徨いていたら騒ぎになると思うんだが…。」

「ピノちゃん隠密行動凄く上手だよ?」

「それ初耳…。」


トレントって木だよね?ピノは一体何処に向かっているのだろうか…。後でステータス確認しておかないと。


「まぁ、今回は何も無かったから良いけど、危ない事はしちゃダメだからね。少なくとも事前に一言言う事!」

「はい、ごめんなさい。」

「申し訳ありませんでしたわ。」


自衛隊でなくても報連相は超重要だからね。全てにおいて応用が効くから癖にしておいて貰いたい。


「じゃあこの話はお終い!気を付けて遊ぶんだよ。」


 キャロとリズちゃんがごっこ遊びという名の格闘訓練に戻る。うーん、改めて見ても異様な光景だな…。


 少しの間2人を眺めていたらリックさんが戻ってきた。


「コウスケさんお待たせしました。」

「いえいえ、娘たちの訓練を見ていましたから。…ちょっと強くなり過ぎじゃないですかね?」

「……コウスケさんもそう思います?」

「このままだといずれは親としての威厳を保てなくなりそうなんですが…。」

「私なんてとっくにですよ。」

「リックさんはまだ良いですよ、商人なんですから…。私なんて娘が商売敵になるかもしれないんですよ?それで娘より稼ぎが悪かった日には…。」

「コウスケさん、私なんて娘に護衛してもらう様になるかもしれないのですよ?」

「「………ハァ…。」」


世の中の子を思う親の悩みなんて多かれ少なかれ尽きないものだな、ウチらは何かベクトルが違う気がするけど…。


 危うく目的を忘れそうになったが、とりあえずリックさんと話をする為にここに来たので、俺達はリックさんの部屋に向かった。

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