第5話 教育隊よりブッ飛んでた幹部候補生学校
色々あった、ホント色々あったよ海上自衛隊幹部候補生学校。もうネタかよと。
内容はギャグみたいなんだが、皆真面目にやってるから質が悪い。笑ってはいけないシリーズに出来るんじゃないかと思うくらいにはぶっ飛んでた。
今はどうだか知らないけれど、当時は色々許容範囲が広かった。朝、総員起こし(一斉起床)でラッパが鳴った瞬間、スキューバ付けた連中が中庭の池の中からぞろぞろ上がってくるんだぞ。軽くホラーだったわ。
教官に滅茶苦茶怒られてたけど、やった連中は皆良い笑顔だったわ。アホだなーとは思ったけど。
なんか幹部は下士官より凄くないといけないみたいな強迫観念があって、それは宴会芸などにも適用される訳ですよ。ありとあらゆる面で発揮されるから、オチャラケも結構ぶっ飛んだものになる傾向が…。
当然ながら、教官サイドもぶっ飛んだ行動を取ることがある。江田島台風なんかは割と有名で、入校式の直後は必ず発生する。部屋に戻るとありとあらゆる場所に荷物が散乱してるは、ベッドは骨組みレベルまで分解されてるわ…。
江田島→海上自衛隊幹部候補生学校
台風 →荷物や部屋などをひっちゃかめっちゃかにする事
という意味で、これ台風なんて言ってるけど、季節は関係なく、生活指導の教官が結構気分で発生させる。台風っていうより竜巻って言ったほうがしっくりする気もするが…。
台風起こす教官とか結構テンション上がるらしく、ベッドをひっくり返すのとか他人の荷物を合法的にぶん投げるのとか割と楽しいらしい。勢い余って自分の足の上にベッドぶん投げて骨折した教官もいるそうだ。
俺は校舎の外にあるロータリー内の植込みに、綺麗にベッドメイクされたベッド一式が鎮座してるのを見た事がある。恐らくベッドをバラして持ち出し、外で組み立て、更に寝具一式持って来てベッドメイクしたのだろう。悪ノリし過ぎだろ!
固っ苦しいばかりでないのは有り難いけど、ノリがいまいちだと付いて行けない上に、罰則は連帯責任だから、被害ばかり受ける結果に…。
諦めてノリノリで生活すれば良いんじゃないかな?
とても国家防衛を主導する人材を育てているようには聞こえないけど、やる事はやってます。きっと大丈夫。多分…、おそらく…。
もう、色々あり過ぎて逆に思い出せない。教育隊なんか目じゃないわ、期間も長いし。
それなりに楽しかったんだけど、強いて不満を言うなら休みについて。競技大会がある度に休日返上で訓練する。競技大会が無くても休日返上で訓練する。もう、休日出勤大好物なんですよ。自衛隊は休日出勤しても給料変わんないから予算も逼迫しないしね!(絶望)
休日の訓練は分隊長が決めるから、お隣の分隊は長期休暇以外の土日を全て返上して訓練してた。偶に暴動が発生しかかるけど、分隊長が力で押さえつけるという恐怖政治を行っていた。心底隣の分隊じゃ無くて良かったとコソコソしてたらウチの分隊長が影響受けちゃって、
「俺たちもやるぞ!」
と。もう分隊員は全員ハニワ状態。
懇願して期間限定にはなったけど、ホント生きた心地がしなかった。
で、1年間の教育期間が終わると、卒業式があって、その足で沖に停泊している艦隊に分乗して出航、内地巡航+遠洋練習航海に突入する。マジで卒業式したら直ぐに乗込む。コレは見学に来てる人には非常にウケる。いかにも
『海軍』
って感じがするんだってさ。
そりゃあ見てる分には良いさ!こっちは、
「「「えっ?休みは?」」」
ってな感じですよ。
ウダウダ言ってる間に艦は卒業生達を乗せてドナドナしてしまう。幹部候補生学校の校舎が見えなくなる頃には諦めの境地だ。
そういえば卒業式に来ていた航空自衛隊幹部候補生学校の教官が、
「いやー、海自さんは凄いね!ウチでこんなコトしたら暴動が発生するよ(笑)」
と言っていた。空自の幹部候補生学校について聞いてみたら、
「卒業式の後は、10日ほど休暇があって、それから部隊に着任かな。」
って。何それ羨ましい!
自分の教官にその事話しして、
「我々も見習うべきです!」
って言ったら、
「月月火水木金金」
だってさ。旧海軍の伝統が恨めしい!