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異世界で再就職する羽目になったけど、潜水艦乗りは潰しが効かなくて困ってます。  作者: はんちょう
第3章 日雇労働者としての再出発
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第20話 魔力の使い方

 昨日の夜は凄かった。ネコミミサキュバス様が御降臨為された。そしてあらゆる精力を吸い取られた。朝チュンとか初めてじゃないか?


「…ん?朝チュンだって…!?」


サーっと血の気が引く音が聞こえる。


「コリーナ、コリーナ、起きてくれ!」

「ううん…、あなた…、どうしました?」

「夜が明けてる!キャロが目を覚ましてるかも!」

「あっ!」


コリーナさんがガバッと起き上がる。もちろんスッポンポンである。そして俺もスッポンポンである。そして反射的に反応してしまう。


「あっ…。」


最初とは違う『あっ』をいただきました!ご馳走様です!ってそんな場合じゃない!


「コリーナ、こっちに来て。」

「はぃぃ……。」


違うからな。昨夜の続きじゃないからな。フレッシュかけるだけだからな。

 フレッシュとクリーンをかけて居間に降りる。寝室を覗くとキャロちゃんはまだ寝ているらしい。


「危なかった…。」

「……せっかくなので。キャロが起きるまでで良いので。」

「ちょっ、コリー、うむっ…。」


コリーナさんにハムハムと唇を食べられている。あ、コリーナさんの目がとろんとしてる。いつの間にかネコミミサキュバス様が復活なされている。


「あなたぁ、あなたぁ…。」


コリーナさんは唇を貪りながら俺の全身をまさぐる。ヤバいヤバいヤバい!すぐ隣でキャロちゃんが寝てるんだぞ!


「ぅんん…、あれ?パパ?お母さん?」

「むぅ、キャロが起きてしまいました…。」


た、助かった…。でも惜しいような気も…。


「おふぁよぉー、パパ…、お母さん…。」

「おはよう、キャロ。」

「おはよう。キャロ、眠かったらまだ寝てていいのよ?ご飯ができたら起こしてあげるから。」


コリーナさんはご飯作っている間に何をするつもりなのかな?


「ううん、私も起きる〜。」


キャロちゃんはネコミミをパタンと折りたたんで居間のテーブルに突っ伏している。正面に座るとキャロちゃんのネコミミがピン!と立ち、ゆっくりと顔を上げた。残念、モフモフしたかったのに…。


「パパからお母さんのニオイがする…。」

「えっ?」

「パパの全身からお母さんのニオイがする。なんで?」


そんな純粋な目で見ないで欲しい。どう答えてもキャロちゃんが穢れてしまう気がする。


「パパがお母さんを抱きしめて寝てくれたからよ。」

「えー、お母さんズルい!」

「ふふ、じゃあ今日は3人で寝ましょうか。」

「わーい!」

「キャロも寂しがっているようなので、今日は川の字で寝ましょう。あなたは真ん中ですよ。」


よろこんでっ!!



「あ、そうそう忘れる所だった。コリーナ、これ2日分の依頼料。ゴメンなこんなショボい給料で…。」


 1万ギルを渡す。薬草採集してれば半日程度で5万ギル以上稼ぐのも余裕だったのに…。本当にあいつ等は疫病神だわ。


「あなた…、私はあなたが一生懸命私とキャロを養ってくれようとしている事が嬉しいのです。金銭の過多など、どうでも良いのです。」

「うん…、コリーナ、ありがとう。でもね、つまらない事かもしれないけど、嫁と子供に楽をさせるというのは俺のプライドの問題なんだよ。だから必ず受け取って欲しい。」

「あなた…。嬉しい…。」


 やべっ、コリーナさんの目がとろんとしてきた!最近多くね?今はまだ朝だよ!?


「今日の夜は親子で川の字なので…。お仕事を頑張っている私にご褒美を先払いでお願いします!」

「待ってくれ、コリーナ!宿の営業は…!」

「今日のお客様は0ですっ!」


そんなに嬉しそうに言う内容じゃないよ!


……結局食われました。



 部隊を解散してから既に半月以上経過している。もう少し準備期間が欲しかったが、当時の残水量からいって、艦に残った人間は限界が近いだろう。それに1度の捜索で発見できるとも限らない。直ぐに行動に移すべきだろう。


 ユニオンに行くと副マスターの他にファラがいた。副マスターにシバかれながら窓口業務を勉強中のようだ。


「おはようございます、副マスター。」

「おはようさん、コウスケ。今日は薬草採集かい?」

「はい。それと明日から暫く留守にします。」

「留守?いつ頃戻ってくるんだい?」

「わかりませんが…、長引くようなら1度顔見せに戻ります。」

「なら良いよ、行ってきな。」

「はい。ところでファラは此処で働く事になったんですか?」


また狂犬病が発症しなければ良いんだが…。


「暇乞いに行ったら着の身着のままで追い出されたらしくてね…。仕方がないから面倒見てやる事にしたのさ。」

「コウスケ様、副マスターから伺いました。数々の無礼を働いた私に親切にして頂きありがとうございます。これからは心を入れ替え、誠心誠意勤めさせていただきます。」

「…………ニセモノ?」

「何故ですかっ!?」


いや…、まともな言葉遣いできたんだな、お前。


「副マスター、コレどうしたんです?」

「なんか今までは洗脳されたような状態だったみたいでね、洗脳を解いたらまともになったんだよ。」


本当に禄なことしないな、貴族は。


「私は副マスターとコウスケ様のおかげで生まれ変わりました!これからは公私ともにお二人にお仕えする所存です!!」


あの狂犬っぷりは元の性格じゃないの?


「副マスター、さっき洗脳解いたらまともになったって言いましたよね?」


副マスターにジトッとした目を向けたら目を逸らされた。


「……会話が通じるじゃないか。」

「それでまともって…。」


なんかキラキラした目でこちらを見ている。本当に会話が通じるのか不安なんだが…。


「コウスケ様は男性なので、この身体を使って御奉仕いたします!さぁ、どうぞ!!」

「アホだろ、お前…。ところで、副マスター?まともって何でしたっけ?」

「…………、わたしゃ知らないよ。」

「いやいや、ペットの躾はちゃんとして下さいよ。」

「捨ててこようかね……。」

「お二人共ヒドい!」


お前の頭が酷いわ。


「兎に角!私はコウスケ様に御奉仕すると決めたのです!」

「オイ、勝手に決めるな!そして許可を取れ!」

「よろしくお願いします!」

「駄目にきまってんだろうがっ!」

「何故ですか!?」

「俺は結婚してんだよ!(予定だけど)」

「構いませんが?」

「俺が構うんだよ!」

「何をおっしゃいますか。男性たるもの妾の1人や2人持たないでどうするのです!」

「お前貴族に毒され過ぎだろ!!」


頭が痛くなってきた。もう放置して薬草採りに行くか…。


「……薬草採集行ってきます。」

「コウスケ様!本日の御奉仕は薬草採集が終わった後ですね!受付テーブルの下で待機してます!」

「いい加減それ止めろ!人聞き悪いから!」



〜〜〜〜〜〜ファラ視点〜〜〜〜〜〜〜


「良かったのかい?あんな事言って。」

「はい、今更真面目なお話もできませんし、御恩を返す方法も他に思いつきませんし…。」

「あんた不器用だねぇ…。」

「とは言ってもこの様な傷のある身体に満足していただけるとも思えませんが…。」


無意識にお腹を撫でていた。そこはお嬢様に


『専属侍女になりたければ覚悟を示せ。』


と言われてナイフを渡された際に傷を付けた場所だ。自分で傷を付けるなんて恐ろしかったが、スラムの奴隷であった私に他の選択肢もなく、渡されたナイフで割腹するしかなかった。それからは忠誠心の高い『狂犬』だと呼ばれるようになった。それが演技であったとしても、その役目を果たす以外に生きる道は無かった。


「まぁ、コウスケはアンタの誘いには乗らないと思うけどね。」

「何故ですか?」

「言ってただろ、結婚してるって。アイツは嫁と娘にベタ惚れみたいだからね。」

「……同情を誘っても駄目ですかね?」

「優しいヤツだからねぇ。……止めときなよ。」


ふふっ、良い事を聞きました。試してみる価値はあるかもしれません。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


 なんかまた面倒くさい事になった気もするが、考えても無駄なので薬草採集に集中しよう。明日からは捜索に行くつもりなので、今日は全滅させる勢いで薬草を乱獲しても問題無い。どうせ戻った時にはまた生えてるだろうからな。

 剣鉈をとり出して魔釖術でそれっぽい草を刈り取り、片っ端からアイテムボックスに放り込む。北東ポイントは広大な平原なんだが、凄い勢いで平原が削れていった。


「大鎌みたいに長ければ収穫がもっと速くなるのに…。」


剣鉈なので精々60cm程度の長さでしかない。


「そういえば昔の漫画に『オーラ◯レード』とかあったな…。」


魔力を剣鉈に流す。剣鉈の先端より遠くをイメージして流し続けると、魔力でできた刃が元の倍くらいの長さになった。調子に乗って流し続けてみたが、限界は無さそうである。ただし、伸びれば伸びるほど魔力の維持とコントロールが難しくなっていく。今のチート級魔力練度であっても2m程度を維持するので精一杯だ。一瞬であればかなり伸ばせるとは思うが…。


『一瞬だけ伸ばして振り回せば大量に狩り取れるんじゃね?』


魔力を全力で込めて振ったらとんでもない事になった。見渡す限り草が刈り取られている。


「流石にやり過ぎた…。」


魔力を1度に大量に消費したため、足元がふらつく。こんなところで眠りこける訳にもいかないので座り込んで魔力の回復に注力する。

 改めて周りを見回すが、この範囲の薬草を拾わないといけないのかと思うとちょっと凹む。


「一気にアイテムボックスに収容する方法は無いものか…。」


元々が化物級の魔力量なので短時間の休憩でもそこそこの魔力量が回復する。

 覚えたばかりの魔力を伸ばす手法を人差し指で試したいたら、紐みたいな魔力が伸びていった。しかも思い通りに動かせる。


『これで薬草掴んで集めたら動かなくても良いな。時間もかかるし、凄い効率悪いけど。』


そんなこんなで刈った薬草を魔力の紐でイジっていたら薬草をアイテムボックスに仕舞えた。


『…マジですか?』


色々試してみたが、どうやらアイテムボックスに限らず、魔力が触れていればスキルを発動できるらしい。円形に魔力を展開したら効果範囲の薬草をすべて回収できた。遠視に至っては、紐状に伸ばした魔力を使って数メートル上空で発動したら遥か遠くまで見ることができた。

 魔力を回復させている途中だったにも関わらず、調子に乗って色々と実験してしまった。しかし、魔力切れを起こす気配がない。何故かと思って確認してみると、


コウスケ・サカイ

種族   人族

位階   25

生命力  2642

魔力量  13000

力    860

素早さ  658

魔力練度 18000

【アクティブスキル】

・魔釖術Lv.9

・鑑定Lv.8

・アイテムボックス

・警戒Lv.6

・遠視Lv.3

・高速思考Lv.5

・誘導Lv.3

・範囲化Lv.2

【パッシブスキル】

・超反応Lv.5

・睡眠耐性Lv.4

・病気耐性Lv.2

・精神耐性Lv.2

・疲労耐性Lv.2

・暗視Lv.3

【称号】

・異世界転移者

・コリーナは俺の嫁(ほぼ確定)

【加護】

・なし


何か新しいスキルが生えてる。まぁ、範囲化についてはどういう効果があるか名前を見ればわかるから良いんだが…、誘導?何故誘導なんだ?魔力を伸ばして離れた位置でスキルを発動できる能力の事なんだろうけど、誘導というのはそのものには当てはまらない気がする。他に使い方があって、そっちがメインの使い方なのかもしれない。検証が必要だろうが、現状はスキルの範囲を延長できる位の使い方を覚えていれば良いだろう。

 そして問題の魔力量だ。いや、問題では無く良い事なんだろうが、不思議なのはその増加量だ。今の段階で1万を超えているが、これはかなりの量を消費した状態であり、感覚的に最大値は10万近いのではないかと思う。いくら何でも伸び過ぎじゃないか?ちょっと怖いんだが…。

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