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異世界で再就職する羽目になったけど、潜水艦乗りは潰しが効かなくて困ってます。  作者: はんちょう
第3章 日雇労働者としての再出発
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第9話 家族とは?

 昨日も来た薬草採集のポイントに着いた。初期投資に金がかかるので、今日からはガッツリ稼ぐ必要がある。流石に昨日採取した場所に薬草はまだ生えていなかったが、採集ポイントは広いのでいくらでも採集出来る。問題は鑑定の魔力が足りなくなる事だろう。

 昨日は魔力が少なくなった時点で魔力操作の訓練をしたが、今日は休憩を挟みつつ限界まで採取した。魔力の量も回復速度も若干上がってきているのか、19束を収穫出来た。今回はズタ袋1つで何とかなったが、もっとペースを上げるなら、ズタ袋をもう1つ購入すべきかもしれない。背負子もあれば効率が上がるか?また出費かよ…。

 休憩してギリギリまで採集すればもっと集める事ができるとは思うが、俺にはコリーナさんの晩飯が待っている。食事の時間には決して遅れるわけにはいかない。

 ユニオンに戻ると副マスターがいた。副マスターなのにいつも受付業務で良いのだろうか?


「顔に出てるよ。どうせアンタが薬草を大量に持ち込むだろうから、1番薬草に詳しいあたしが受付けてんのさ。感謝しなよ!」

「はい、ありがとうございます。」


感謝を強要されるのはアレだが、気を遣って貰ったのは間違いない。有り難や有り難や。


「今日もまた大量に採ってきたねぇ…。」


若干の呆れ口調で言われる。それはそうだ、前回も沢山採ってきたと言われたのに、今回はその倍近い。


「しっかり稼がないと所持金に不安が…。」

「まぁ、装備一式整えた後だからね、我慢のしどころだよ。」

「ですね、頑張ります。」


 薬草を渡して確認してもらう。まぁ、鑑定して集めてるから毒草は混ざっていない。副マスターが『この量でも混ざらないのかい…』と呟いているのが聞こえた。


「ほら、9500ギル、完璧な仕事だったよ。この調子ならそのうち薬草採集だけでランク2になりそうだね。」

「薬草採集だけでランクが上がると拙いのですか?」

「いや、低ランクのうちは全く問題無いよ。ただランク4くらいになると、ユニオンとしても戦闘能力もある程度欲しくなるのさ。」

「何か討伐する事でもあるんですか?」

「そっちは傭兵ギルドや冒険者ギルドの話だね。ウチは精々害獣駆除くらいなもんだよ。だけど、信用という意味である程度は強くあって欲しいのさ。」


えっ?冒険者ギルドがあるの?


「冒険者ギルドって何ですか?冒険者とは何でも屋の名前が一時期そうなりそうだったけど、意味不明って事で却下されたんじゃなかったでしたっけ?」

「ああ、そうだよ。だけどその後にダンジョンとやらが見つかってね。おまけにダンジョンの中から魔道具やお宝が出てきたもんだから、ダンジョン内は魔物が居て危険だったにも関わらず、一攫千金を夢見て侵入する輩が後を絶たなくてねぇ…。ダンジョンや冒険者を管理する専門の組織、つまり冒険者ギルドができたのさ。」

「はぁ、なるほど…。」


いきなり『テンプレだー!』とかいって冒険者ギルドに行ってたら間違いなくダンジョンで死んでたな。ユニオンを勧めてくれたリックさんには感謝しかない。


 おっと、そろそろ帰らないと晩御飯の時間になってしまう。コリーナさんには17時って伝えてあるから、それまでに帰らないと。


「ではお先に失礼しますね。」

「ああ、薬草はいつも不足気味だから、お願いするよ。」

「わかりました。」


これにて本日の業務は終了!宿に帰る足取りが軽い。美人女将に可愛らしい店員さん、それに美味い飯!最高じゃないか!


「ただいま帰りました。」

「お帰りなさいっ!」


キャロちゃんが飛びついてくる。なんか凄い勢いで懐かれてるな。嬉しいけど。


「キャロちゃん、危ないから飛びつく時は気を付けるんだよ?」

「うん、分かった!」


飛びつかない様には注意できない、できるはずが無い!


「あらあら、キャロはコウスケさんが本当に好きねぇ。お帰りなさい、コウスケさん。今日もお疲れ様でした。夕食の準備が出来ていますよ、みんなで一緒に食べましょう。」


コリーナさんの嫁パワーが凄まじい。コリーナさんとキャロちゃんの破壊力は抜群だ。俺もう日本に帰らなくても良いわ。コリーナさんマジで結婚してくれないかな。


「わかりました、服着替えてきますね。」


鍵を受け取り、部屋に荷物と装備を置く。

そういえばこの2日間他の宿泊客を見かけない。コリーナさんが『獣人が人族に避けられている。』って言ってたのは事実なんだろうな。


階下に降りると、コリーナさんとキャロちゃんが席について待っていてくれた。


「すみません、お待たせしました。」

「いえいえ、今用意が出来たところですから。」

「おじさん!早く食べよ!」

「そうだね。コリーナさん、キャロちゃん、いただきます。」

「はい、お召し上がり下さい。」

「おかわりもあるからね!」


最高かよ。


 賑やかな食事が終わり、コリーナさんは後片付け、キャロちゃんは眠いのか船を漕いでいる。


「キャロちゃん寝そうですね。」

「すみません、コウスケさん。キャロをベッドまで運んでもらえませんか?」

「お安い御用ですよ。」


キャロちゃんを抱えて寝室のベッドに寝かしつける。去り際に頭を撫でると"にへら"と笑った。語彙力が崩壊しそうなくらい可愛い。


「キャロちゃん寝つきました。とても可愛らしいですね。」

「コウスケさん、ありがとうございます。最近はお手伝いも沢山してくれますし、コウスケさんが泊まられる様になってから毎日楽しいのか、はしゃぐようになったので疲れているのでしょうね。」

「キャロちゃんが懐いてくれるのはとても嬉しいです。」

「ありがとうございます。そう言っていただけると私も嬉しいです。」


何となくこのまま部屋に戻るのも寂しい気がしていると、「お茶を用意しますので。」と椅子を勧められた。


「コウスケさんは出稼ぎに出てこられたのですよね?」

「はい、そうですよ。他にも2人この街に来ています。」

「どのくらい滞在するご予定なのですか?」

「実は他にも村の仲間が居たのですが、街に向かう途中に通った森で逸れてしまったんです。村の仲間の捜索をしないとならないので、期限は決めてませんが長期の滞在になると思います。」

「いずれは村に帰るのですか?」

「……、最初はそのうちに帰ろうと思っていました。でも今は街で暮らすのも悪くないと思っています。帰りを待つ人も居ないので…。」


日本では死んだ事になっているだろうし、俺は三十路にしてはそこそこ貯蓄していたので、両親の面倒は俺の遺産を使って他の兄弟が何とかしてくれるだろう。結婚もしていなかったので、養うべき家族もいない。はっきり言って、苦労して日本に帰る手段を探す理由が無い。


「コウスケさん…、でしたら此処で私達と一緒に住みませんか?」

「えっ?」

「お客様ではなく、家族として一緒に住んでいただけませんか?」

「えーっと、まだ出逢って日が浅いのですが、それは結婚ということですか?」

「えっ?」

「えっ?」

「…………。」

「…………。」


違うの?家族になって一緒に住むんでしょ?


「おね…、ち、違います!獣人は結婚する事を番になるといいます。家族はまた別なのです!」

「そうなんですか?すみません、人族は家族になるイコール結婚なので勘違いしてしまいました。」

「私こそすみません、紛らわしい言い方をして…。」

「いえいえ、とても嬉しいですし、正直に言いますと、コリーナさんとなら例え結婚でも大歓迎です。でも、会ったばかりの男が女性だけの家に一緒に住んで大丈夫なのですか?」

「昨日ニオイについてお話した事があったとおもいますが、獣人にとってニオイが良いと言うのは何より重要なのです。ニオイである程度良い人か悪い人かを判断できます。それに、ニオイの相性が悪いと絶対に番にはなりませんし、逆にいえば、ニオイの相性が抜群だと出会ってからの時間は関係ありません。(……コウスケさんはとても良いニオイがするので番でも大歓迎なのですけどね。)」

「えっ?何か言いました?」

「いえいえ、特には。話を戻しますが、改めて。コウスケさん、私達と一緒に住んでいただけませんか?」

「はい、よろしくお願いします。」


ここまで誘われて断る選択肢は無いな。俺にとって有り難い事ばかりだ。最低でも宿泊費+食費程度は入れるようにしよう。


「では居住スペースに移って来て貰えますか?」

「えっ?」

「これからは一緒に住むのですから、当然お部屋も一緒ですよ。大丈夫です、そこそこの広さはありますから。荷物は部屋の角にある収納箱を使って下さいね。」


流石に寝室は別だろうと思ったけど…、まさかだよな?コリーナさん、同じ寝室にある使ってなかったベッドを準備してるんだが…。


 借りていた部屋に行き、荷物を持って居住スペースに戻ると、まるで夫婦の寝室の様に整えられていた。本当に番では無いんだよな?



〜〜〜〜〜〜コリーナ視点〜〜〜〜〜〜


 コウスケさんに『一緒に住んで欲しい。』とお願いしてしまいました。性急に過ぎるとは思います。しかし、1度アピールすると決めてしまっていたので、抑えが効かなくなってしまいました。コウスケさんから、


『結婚ということですか?』


と言われた時は反射的に、


『お願いします!』


と言いそうになりましたが、咄嗟に


『番ではなく家族で』


と誤魔化してしまいました。番と家族は違うと説明しましたが、正直私にも番と家族の違いが解りません。やってしまった感があります。

 でも私は若くもない子持ちの未亡人なので、一般的には瑕疵物件なんて揶揄されることもあります。よく知らないお爺さんから『後妻になれ』なんて言われたこともあります。ニオイが酷かったのでお断りしましたが。

 そういう立場なので、ストレートにお誘いして断られるのが怖いのです…。でもコウスケさんのニオイは、私にとってかなり相性が良いと思います。今日などはニオイを嗅いだだけで頭がポヤっとする程でした。ニオイからして、コウスケさんも私の事を憎からず想って下さっているとは思いますが、どうしても自信が持てません。

 徐々に外堀を埋めていくしかないのですかね?でも、コウスケさんは素敵な人なので、悠長にしてると若い娘にかっ攫われるかも知れません。それは絶対に嫌です!

 そうです!無防備な所を見せれば、もしかしたら手を出していただけるかもしれません!

取り敢えずは一緒の寝室で寝れるように部屋を整えましょうか!


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

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