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異世界で再就職する羽目になったけど、潜水艦乗りは潰しが効かなくて困ってます。  作者: はんちょう
第1章 せっかく公務員に成れたのに、何だかブラックの匂いがする。
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第2話 思った以上に変わったトコだったよ自衛隊

 海上自衛隊には地域調整手当というお手当があるらしい。その情報を入隊試験の前に仕入れた俺は、横須賀配属の艦艇に乗艦したいという理由を書いて、教育訓練の希望地を横須賀で提出した。

 海上自衛隊には一兵卒が教育訓練を受けることができる勤務地が横須賀、舞鶴、呉、佐世保の4箇所あり、その中で唯一地域調整手当が支給されるのが横須賀である。地域調整手当とは、他地域より物価が高い地域に勤務する者に対して補助をする制度である。


『土日以外は営内居住で外泊許可も無く、同じ訓練受けて同じ様に外出制限かけられるのに、横須賀だけ給料高いとかズルくね?』


という思いで横須賀勤務を希望したものの、将来は横須賀勤務になるという確約だけもらい、実家が広島という理由で呉教育隊に入隊する運びとなった。

解せぬ…。


 教育隊に着いた当初は教官の皆がとても優しく、


『何かあったら相談してね、俺等は皆家族みたいなもんだから。』


って言ってたのに、正式入隊した途端、


『おらー!テメェらいつまで甘えてんだボケェ!チンタラすんじゃねー!』


と、広島弁剥き出しでご指導頂きました。ギャップが凄すぎて付いていけませんでした、本当にありがとうございました。

慣らし運転くらい挟んだ方が良いと思いますよ?


 で、自衛隊って官給品の物品愛護精神が凄いんです。数十年前の体操服を受け継いで使い続ける位には。で、武器に対しては更に厳しいんです。まぁ、厳しくする理由は分かるけど…。


 ある日、同期が足元に置いていた64式小銃に蹴躓いて、それを教官に見られてしまった。


「全員集合〜。」


のんびりした声で教官に集合をかけられる。同期が銃に蹴躓いた事など知る由もない俺等は、


(あれ?まだ休憩時間が終わるには早いけど…。)


とか呑気に考えていた。


「君達には物品愛護精神が足らないみたいだから、身体で覚えて貰おうと思いま〜す。」


満面の笑みにも関わらず、目が全く笑っていない。


(((誰だよ!やらかしたヤツ!)))


と、今更どうにもならない憤慨した気持ちを心の中でぶつけまくっていたところ、教官が、


「腕立て伏せの姿勢をとって、自分の銃を顔の前に置け。」


と。

マジか…。地面は目の粗いコンクリートで、手のひらが凄く痛いんだが…。


(まぁ、腕立て伏せで済んだからまだましか。)


って思っていたところ、教官が、


「自分の銃さんが『もう良いよ』って言うまで腕立て伏せな。」


と。


「「「はっ???」」」


今なんつった?聞き間違いか?


「はい、始め〜。」


おいぃぃっ、ちょっ、マジで意味が分からん。でも腕立て伏せしないと間違いなくしばかれる。

この頃にはそこそこの訓練が進んでいた為に、皆結構腕立て伏せができていたけど、10分位経っても終わる気配が無い。

更に暫く時間が経ち、時間の感覚も無くなって流石に皆ヘロヘロになった頃、教官から、


「どうだ?銃さんはもう良いよって言ってくれたか?」


と。


(やっと許してくれたか…。)


と思い、


「「「はい、言ってくれました。」」」


と返事をすると、いきなり般若の如き表情になった教官が、


「嘘つけテメェら!銃がしゃべる訳ねぇだろうが!ふざけんな!腕立て伏せを続けろ!」


と。

いや、どう答えれば良いのさ?

その後しばらくして同じ質問をされ、


「「「言ってません。」」」

「なら腕立て伏せを続けろ。」


を何回か繰り返してやっと許して貰いました。

絶対楽しんでるだろ…。


他にも

「ホタル事案」

「おかぁちゃん突撃」

「明日に向かって敬礼」

「幽体離脱事案」

「神降ろし事案」

等、話題に事欠かない教育期間だった。詳しくは語らないけど。

本当に自衛隊って変わったトコだよ。まぁ、それで耐性が付いたのは否めないけれど…。

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