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異世界で再就職する羽目になったけど、潜水艦乗りは潰しが効かなくて困ってます。  作者: はんちょう
第2章 後悔先に立たずとは言うけれど、予想外にも程がある。
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挿話 高須賀3曹の冒険(1)

 当直を交代してメシ食ったら直ぐにベッドで寝ていたはずなのに、気が付いたら通路で寝ていた。これだけ聞けば、


『寝相が悪いんじゃねーの?』


という感じではあるが、基本的に潜水艦乗っていて寝相でベッドから落ちる奴はいない。艦が揺れて…というのも、例え台風が通過しても考えられない。潜水艦は潜没航行中だと揺れないのだ。

しっかし、やけに傾いてんなー。


「おい高須賀、大丈夫か?」

「機械長?どうしたんですか?」

「詳しい説明は後でするから機械室に集まれ。」

「わかりました。」


なんなんだ?いったい。

 周りを見ると、他のパート(職種)もそれぞれ集まって説明を受けるらしい。


 その後暫くして受けた説明は信じられないものだったが、


「アイテムボックスが使えるぞ!」


とか、


「ステータスが見れるぞ!」


という話が聞こえて来ると、テンションは爆上がりになった。だってファンタジーの王道だぞ!逆にテンション上がらないとか意味がわからん!


 アイテムボックスの検証やら魔力練度の検証をやってると、水雷長達が外でスライム倒してきたという話が聞こえてきた。やっぱ居るんだな、ファンタジー生物!何か64式でぶん殴れば倒せるらしい。まぁ、最もメジャーなザコ敵だからな、当然だろう。

 それよりも魔力練度だよ!漫画とか小説で有名な訓練法(なんか体内で回すヤツ)を試したら魔力っぽいのが動く感覚があったし、魔力量が減っていた。このまま訓練を続ければ魔法が使えるようになるかもしれないと思うと夢が広がるな!


 何か機関士からレベル上げとけ的な話があったけど、後でも良いだろ。戦闘しなくても一緒に居るだけでレベル上がるらしいし。


『それよりも魔力練度でしょ!』


って思ってたら、部隊を分けて居残るか森を脱出するかに別れるらしい。


『だから機関士がレベル上げとけって言ってたのか!全然聞いてなかった!やべー!』


って、慌ててレベル上げに参加した。だって森を抜けたらファンタジーな街があって、ギルドで冒険者登録してダンジョンアタックしたりなんかするかもしれないんだぞ!そんなもん脱出組に混ざるにきまってんじゃん!


 何とかレベル上げをするチームに混ぜてもらったが、出だしが遅すぎたので、レベルは4までしか上がらなかった。居残り組ではそこそこ高い方だが、脱出組では最低レベルらしい…。しかし、居残るという選択肢は断じて無い!


 脱出組に加わることにしたら、機関士が分隊長の分隊になった。他には船務士、岩本、北野、小野、自分を含めると6人だ。意外に少ない。

 武器は銃剣を受領した。ただでさえ射撃訓練の成績悪いのに、教育隊出てから1度も撃ってない64式なんて当たるとは思えない。まさに宝の持ち腐れだ。それよりも漫画やアニメの魔法剣みたいに出来たほうが凄くね?練習あるのみだな。

 毎夜の見張り中に魔力練度を上げるため、コツコツと魔力の操作訓練をしているんだが、3日目に物に対して魔力を這わせる事が出来そうな感じがした。もう一人の見張りが機関士だったので、その事を自慢すると、


「魔力練度いくつ?」


と聞かれたので、62ですと答えたら驚いていた。

 機関士か、


『まだ25だよ…。』


って、ちょっとションボリしながら呟いていたので優越感!むふー!


 4日目の見張り中、銃剣に魔力を纏わせることに成功した。皆寝ているのに叫びそうになったが、手で口をおさえて我慢した。自分偉い!

当直交代して、


『明日皆に教えたら凄いことになるかも!』


と思うと中々寝付けれない。それでも寝転がっているとウトウトしてくるもので、そろそろ寝られそうだなと思っていると、周りが少し騒がしくなった。どうやら何かを見つけたので、全員を起こして回っているらしい。


 何時でも動けるような体勢をとっていると、機関士が慌てた様子で走ってきて、


「逃げるぞ!付いて来い!」


と叫んだ。船務士が、


「機関士!どうしたんですか!?」


と質問するが、説明する時間は無いらしい。取り敢えず後について走る。後方から銃声が聞こえてきた。自分達の分隊は逃げる事を優先するらしい。

後方から徐々に近付いてくる気配を感じるが、恐ろしくて振り返れない。

兎に角必死に走る。

すぐ後ろから叫び声が聞こえた。


「機関士!たすけ…」


バリッ


「岩本を放せー!!」

「やめろ!!北野!!」


ボォグゥ


『駄目だ!見たら駄目だ!』


振返らず兎に角走る。人の事を考える余裕なんてない。


 必死に走って暫くして自分が1人になっている事に気が付いた。

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