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異世界で再就職する羽目になったけど、潜水艦乗りは潰しが効かなくて困ってます。  作者: はんちょう
第2章 後悔先に立たずとは言うけれど、予想外にも程がある。
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第11話 潜水艦乗りの再就職は難度ルナティック

前回の投稿が大分間を開けたので、短いですが書き溜めていた話を投稿します。

 戦闘兼検証しているうちから、


「なんかスライム倒すの早くなったなー。」


とか思っていたが、検証の結果ステータスのインフレがヤバかったことが原因だった。

 今までスライムしか倒して無かったから気が付かなかったが、このステータスの変動っぷりだと、この森最弱はレベル0の乗員なのはほぼ確定だろう。


 少なくとも今迄は厳しい訓練に耐え、心身共に鍛えてきたという自負が多かれ少なかれあるった。だが、そんなものがレベルというシステムでほぼ無意味なモノに成っている。どれだけ鍛えてもスライム2〜3匹倒した人間には基本的に太刀打ち出来ないのだ。


 一体今迄の訓練は何だったのかと。しかも潜水艦乗員は公務員でありながら、


『我ら戦闘の用にあり』


との標語の下、潜水艦要員に選抜されて以降は、有事に備えて戦闘訓練に明け暮れる。

 座学と実習を含めて、下士官で8ヶ月、幹部だと1年半だ。更にいえば、その期間を訓練と勉強に費やし、試験に合格して漸く半人前未満、ただ乗員となっただけである。ドルフィンバッチは貰えるが…。

 横須賀の潜水艦部隊では下士官の間で、


『5年で半人前、10年で漸く1人前』


と、言われていた。今は人手不足の御時世であり、女性自衛官も潜水艦乗員への道が開かれたが、基本的には男と扱いは変わらないだろう。定着してくれる事を祈るのみである。

 因みに幹部は能力、人格、精神面、様々な理由はあれどモノにならず、潜水艦隊を去る人間も毎年少数いる。

 潜水艦で駄目出しされて退職希望を出しても、海上幕僚監部の人事課から、


『自衛隊は辞めないで水上艦に職種変更しない?』


とお誘いが有る程度の能力はある。

 潜水艦幹部は人数が少ない。なので、上位階級の水上艦幹部の仕事を複数熟す能力が求められるため、それだけ高い能力と強い精神力が求められる。言ってみれば、2等海尉や3等海尉が水上艦の1等海尉や2等海尉の仕事を複数熟すのである。

 流石に佐官級の仕事は難しいが、潜水艦艦長はその潜水艦の最高責任者であり、艦内の全てを取り仕切るため、それを目指して努力し続けるのは…、まぁ、大変である。偶に潜水艦幹部には、


『潜水艦艦長こそ最終的で最高のキャリア』


と、考える者もいる程である。

 まぁ、潜水艦艦長は潜水艦内に於いては絶対的な存在なので分からなくもない。名実共に最高指揮官なのである。

 因みに他の官庁や同じ海上自衛官からも


『水上艦でも艦長は最高指揮官では?』


と尋ねられる事がチョコチョコあったが、潜水艦の場合は名目上の最高指揮官ではなく実際に最高指揮官なのである。

 例えば、水上艦では艦長が方針を決定しても、艦長以上の存在、隊司令や群司令、果ては艦隊司令官が座乗している場合は決定した方針を報告して許可を取らなければならないし、士官室の席次は階級順である。

 しかし、潜水艦は例え内閣総理大臣や防衛大臣が乗艦しようとも艦長の席次はトップであり、次席に内閣総理大臣が座る。

 昔、複数人の超VIPが艦内の士官室に来た事があったが、士官室内にいる全員の中で1番立場が弱いはずの艦長が、長机のお誕生席に、


『どーん!』


と、擬音語が聞こえてきそうな感じで座ってた事があり、かなりシュールな光景だった。副長?士官室で立ったまま雑用係してましたよ。完全に雑魚扱いです、ありがとうございます。特別扱いは艦長のみなので。

 更に潜水艦隊司令官が座乗していても、報告義務のある内容は伝えても、決定権は艦長が持つため、上位階級の指揮官でも口出し出来ない。できても、


『こうしたらどうかな?』


と艦長に優しく言う程度である。司令以上の指揮官は艦長経験者なので、強ち間違った事は言っていないのだが、その指揮官が艦長だった潜水艦と座乗している潜水艦は特性が絶対に異なるため、艦長の判断が優先される。

 ある潜水艦艦長の標語に、


『潜水艦艦長たるもの、時には神の様に振舞え』


というのがある。詳しく知らないが、意訳すると


『上位者の圧力を忖度せず、己の正しいと考える事を迷いを見せず決定し、絶対的な自信を持って部下を指揮しろ。』


という事を言っているのだと思う。ちょっと厳しすぎやしませんかね?


 幹部は階級で職責が明確に別れているため、階級を重視してくれるけど、下士官にとってコレまた潜水艦は特殊な環境で、チョットした階級の差より、潜水艦で食べたメシの回数が重視される傾向がある。

 それは、後輩に潜水艦の知識と技術で追い抜かれることが極めて恥ずべき事であり、皆勉強するためで、


『メシの数が多い=知識や技術が優れている』


と他の乗員から思われるからである。偶に一致しない人も居るが、そういう人は悪い意味で有名人になる。滅茶苦茶出来の良い人は、どこの艦からも引っ張り凧で、本来は先任伍長が決めるところを補給長が隠れてバックアップしたりする事もある。

 それ程までに自衛隊人生の殆んどを注ぎ込んできたにも関わらず、スライム2〜3匹倒してレベルアップした人間に太刀打ち出来ないとか、余りな内容じゃないか?この世界に人間が居るのか分からないが、居たとして治安が悪ければ直ぐに死んでしまうだろう。それで無くても仕事はどうする?身分の知れない人間など知識はあっても雇われないだろう。であれば単純作業の肉体労働しかないが、レベルシステムの支配するこの世界で、肉体労働なんて熟せるのか?

 潜水艦乗りというより転移者の再就職がハード過ぎて笑えないが、それも生きて人里に辿り着く事が出来ればの話なので、一旦棚上げにする。

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