表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界で再就職する羽目になったけど、潜水艦乗りは潰しが効かなくて困ってます。  作者: はんちょう
序章 自分が誰だか分かるけど、ココが何処だかわからない。
1/83

自分が誰だか分かるけど、ココが何処だかわからない。

 おはようございます!坂井孝介です!潜水艦の乗組員で、配置は機関士、航海中は哨戒長付(哨戒長の補佐)やってます!

 ところで、現在とっても嫌な予感がしています!何故なら今ちょうど目が覚めたところで、体勢がってか身体の向きがね、なんか横向きなんですよ。今は仕事中のはずなんですけどね!今かいてる汗は絶対に寝汗ではないと思う。


 若干混乱と現実逃避をしてしまったけど、取り敢えず気が付いたらうつ伏せに倒れ込んでいて、全く状況がわからないといったところ。

航海当直を交代した覚えはないので、どうやら航海中の当直勤務中にも関わらず、床に寝転がっているらしい。


・航海中

・幹部(哨戒長付)

・居眠り(気絶?)

・床に横倒し


 うん、これはやっちまった。麻雀で言えば楽々と数え役満。もうヤバいを通り越してるわ。


 安全管理が至上命題の自衛隊。オマケに乗ってる艦は、ワンミスが全員死亡に繋がる潜水艦。言うまでもなく安全管理は特に厳しい。航海当直の幹部が居眠りぶっこいた挙げ句、床でお休みマンとかブッコロもんだわ。

 派米訓練でハワイに行くことが決定して以来、準備のため連日激務と睡眠不足になっていたので、気絶したのか居眠りをしたのかまるで区別がつかない。


 居眠りにせよ気絶にせよ、どちらにしても上官にシバかれるのは確定したので、先手を打って謝ってしまおう。ワンチャン気絶で言い訳できるかもしれない。


「すみませんでしたっ!意識を失ってました!」


 断じて嘘は言ってない、睡眠だろうが気絶だろうが意識が無いことには変わりない。


「………………。」


って、あら?普通なら


「ナメてんのか、テメェ!ブッ◯す!」


等の罵声と鉄拳が飛んでくるところなんだけど。

半々で鉄拳が来る可能性があったので、痛みに耐えるべく身構えていたのだが、何の反応も無い。

それどころか艦内が薄暗い。


……おかしい。


 航海当直に入った時にはもう日出時間を過ぎていたので、艦内は昼白色になっているはずなのに、全体的に薄暗くなっている…。

まさかこれは…、


「非常電源に切り替わってる?」


 おまけに艦内が通常ではあり得ないくらい右舷側に酷く傾いているんだか…。

 もしかして沈没した?いやいや、そんな馬鹿な。現在航行中の海域は水深が4000メートルを超える。沈没なんぞしたら水圧に耐えられる訳がない。海底に到達する前に水圧でペチャンコになって海の藻屑になっとるわ。

 最初は取り敢えず最低限しかボコられないように謝ることしか考えていなかったが、現状が解らないことだらけだという事態に気が付いたことで、初めて周りを見る余裕が出てきた。


「おおぅ……。」


 なんか全員倒れ込んでいるんだが…。ガス?いやいや、それなら多分俺も死んでるし。マジでどうなってんの?


 慌てて他の人の状態を確認してみると、呼吸と脈はある様だ。それ以上はわからん。医者でもあるまいし診断なんかできる訳がない。呼吸やら脈が無いときの応急処置は定期的に教育を受けているが、できる事なら人工呼吸はしたくない。イケメンでも無いオッサン同士の人工呼吸とか誰得だよ。いや、イケメンだったとしても遠慮したい所ではあるけれど…。


 まぁ、取り敢えず意識は無いようだが直ぐにどうこうなる様な状態では無さそう。ホッとするわ、本当に。全員倒れているのを見た時は最悪の事態も想定されたし。


 取り敢えず、艦長に報告しようかと思ったが、何を報告すれば良いんだよ、これ。本来なら哨戒長から報告してもらうんだが、哨戒長も意識無いし、何より状況が不明過ぎて何て報告すれば良いんだか…。


『よくわかりませんが、何らかの事態が発生した模様です!』


…………、駄目だ。そんなクソみたいな内容の無い報告したら、ぶん殴られる未来しかない。


『そういえば意識を失う前は潜望鏡で周囲を確認しながら露頂航行(水面下ギリギリを航行する)してたっけ。』


 非常電源に切り替わっていたからちょっと不安だったが、潜望鏡は上昇したままになっていた。どうやら油圧系統と空気系統は生きているらしい。古いタイプの潜水艦で良かった。新型の潜望鏡だと電子化が進んでいるから、非常電源に切り替わった場合に潜望鏡を使える保証がない。こういう時は本当にアナログの有難味がわかる。普段は面倒くさいけど。


「……………はっ?」


頭でも打ったんだろうか?潜望鏡を通してあり得ない物が視界に映っている。


「……木?」


なんでハワイに向けて太平洋のど真ん中を走っていたのに、周りに木が生い茂ってるんだよ…。

「いやいやいや、ココ何処?」

思わず出た独り言に返事をしてくれる人は誰もいなかった…。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ