依頼
ケンは5人の子供が高校生になる1月前、日本の本社に呼び出しを受けた。
コーデル社に買収された自分の所属する会社に久々に顔を出すと、品の良い金髪の女性と老人に個別面接を受けた。
女性はコーデル社日本支社社長ミランダ、老人は銀翼の鷹のジョシュアと紹介された。
そこで信じられないような話をされる。
「あなた方の話はとても信じられない。
あなたは異世界からわざわざ滅亡する地球にやってきた。
2人して頭がおかしい」
「そうだとも、それが当たり前の反応だ。だがこれを見てもそう言えるか」
目の前に繰り広げられる魔法、挙げ句にかつての戦闘で傷つき動かなくなった左腕が動き指先に感触が伝わる。
「有り得ない、こんな事は有り得ない・・・俺は気でも触れたのか」
「貴重な魔石じゃが、君はこれからセントリーブス王国に転移するものたちを守るのに必要なのでな。どうじゃ、信用してくれるか」
「分かりました、腕の代価には足りませんが私程度の力で良いならいくらでもお使いください」
「ありがとう御座いますケン・グランド。お礼というわけでは有りませんが転移の候補者について奥様とお子さんは必ずリストに揚げておきます」
ミランダは転移候補者用紙にケンの家族の名を書き込み部下に渡す。
「ちょっと待ってくれ、一つ頼みがある。俺の兄さんの名もその中に入れてくれ」
「マイケル・グランドさんの事でしょうか」
「ああ、是非頼む。兄さんには大きな借りがあるんだ」
「そうですか、しかしあなたの親族の調査は完了しておりまして。マイケルさんはそう長くは生きられないとの事ですので」
ケンは知っていた。それでも兄に安らかな時を過ごして欲しかった。
この星は兄には辛すぎる。
「ダメですか・・・」
ミランダが頷きかけたときジョシュアがそれを制した。
「それを儂への依頼としたい。そうしてくれるか、ケン・グランド」
「お願いします、銀翼の鷹のジョシュアさんに是非ともお願いします」
ジョシュアが嬉しそうにしわくちゃの顔で笑った。




