鍛錬
スケバン姿の女子学生の国籍は日本、歴とした日本人である。
父は、会社が中国吉林省支店を出すと真っ先に移動願いを出した。
他に誰も手を挙げなかったのでそのまま中国に向かう。
5つ子が生まれた直後、直ぐに一家そろって中国に渡る慌ただしいものだった。
中国に住んで早15年、5人の子供たちも高校に上がる。
吉林省の田舎は日本のいや、世界の情報が行き届いていなかった1990年代後半。
子供たちは親が持ってきた漫画やDVDの中の日本しか知らない。
中国吉林省の田舎の自然の中で駆け回る子供たち。
自然と基礎体力は向上する。
父母は時折、子供たちを籠の中に入れそれを背負い、山の頂にある少林寺流拳法の道場に通っていた。
子供が5歳になると道場に通わせるようになる。
人と言うのは環境の動物だ。
道場で暮らす子供たちや村の友達も一緒になって拳法を習い、誰に勝った負けただのワイワイ楽しむ。
ときおり背が2メートルを超える金髪碧眼の師匠が来て、道場の弟子の前で楽しそうに拳法の技を子供たちに教えていた。
とてもやさしく、道場を維持しつつ親に恵まれない子供の面倒をみている男。
中国吉林省のここに住み始めて20年、気がつけば最強を誇る師匠から道場を継いいだ男が5人の子供たちの師匠であった。
まだ目標には程遠いと自分自身を諌め、高くそびえる山を望み今でも鍛錬は欠かさない厳しくも優しい男。
男の目から見ても5人の日本人の子どもたちは真面目で優秀だった。
気がつけば皆、師匠を超えるだろうと周囲から囁かれる逸材になっていた。
遥と戦う少女と同じ時、少女を含む5つ子の父が今、因縁の勝負を少女たちの師を前に挑んでいる。
「兄さん、決着をつけよう」
「うむ、来い!ケン・・・兄をこえてみせろ!」




