友達
遥の高校生生活は至って平穏だった。
少子化の影響で同じ中学校の友達や隣り町の中学校の知り合いばかりなので緊張感もない。
しかもみんな良い人で先輩も思いやりがあり、優しい人ばかり。
理系、文科系の部活動が盛んで体育会系の部活動も和気あいあいである。
理想的な高校である。
教師ならば是非とも配属を希望する学校であろう。
遥のシークレットサービスが来るまでは。
入学式も終わり桜の花びらが散り始める。
はらはらと舞い降りる花びらを肩に付けた者同士、お互いで払って上げたりする女子、自転車に乗った女子を必死に追い掛ける男子野球部員。
爽やかな青い空と街と人々。
遥も中学校の時から付き合う賢治と菜々子と一緒に通学している。
「みんな同じクラスで良かった!ね、ハル君、けんちゃん」
セーラー服姿の菜々子がくるりと2人に向かって振り返る。
「ホント、僕、ななちゃんと違うクラスだったらどうしようか心配だったんだ」
賢治がニコニコして菜々子に返事をする。菜々子が好きなのだろう遥の名前は入らない。賢治は男に興味はない。
「僕もけんちゃんやななちゃんと同じだよ・・・」
何やら校門でトラブルが発生しているようだ。
スゲーよ!とか、初めて見た!とか、あれが伝説の!とかいう声が聞こえフラッシュが切れ目なくたかれる。
騒ぎの輪の中心に五人の男女がいた。
男子が3人、女子が2人。
その中ひとりの女子が遥を見ると声を掛けてきた。
知っている気がした、見たことがあったような気がした。
あれは、あれは、伝説のスケバン!右手のヨーヨー、穴あきグローブ、膝下30センチのロングスカート。たぶん刑事では無いだろう、高校生みたいだし。
「あんたが遥かい!こっちきな!あたいとタイマンだよ!」
少し日本語の発音に違和感を感じる遥であった。
抜けるような青い空に境界線は見えない。
そんな青い空のどこからともなく現れた異世界人の勘違いで、学生帽のひさしに切れ目をワザと入れる男子とかニワトリのような頭の男子とか手足は白いのに顔が真っ黒な女子とかまだ部活動の勧誘も始まってないのにヨレヨレの柔道着着てる男子とかが遥の目の前に現れたのだった。




