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失踪

邪龍の前に立ちはだかるコージ。


鎧の力を借り必死に剣を振るう。


ミックも持てる限りの武器で戦う。


ナターシャも魔石の力を補助に炸裂魔法を邪龍の足元に放つ。


鎧の隙間から流れだす血。


吐き出される炎を必死に回避し大剣で何度も突き刺す。


穴から出られたら負けである。


いくら魔法鎧とて装着者の力がベースである以上コージの力では無理があった。


動きが止まったコージに邪龍の尾が叩きつけられ吹き飛ばされる。


『やっぱり勝てない、結局邪龍を使った聖公国との戦いは避けられない、せめてコイツを倒せば聖公国も戦力が大幅に下がって戦争をためらうかも知れないって言うのに』


邪龍の攻撃をかいくぐってコージの元へ走るミック。


ナターシャの渾身の爆裂魔法でよろめく邪龍。


コージを担ぎ上げ洞窟の出口に向かう。


やっと身を隠せる隙間にコージを寝かせナターシャに鎧を脱がせさせる。


「さあ!来いよ、オオトカゲ!」


ミックに向かって邪龍が突進して来る。


頼むぜ地球のノーベル爺さんさんよおおおおお!


ミックがスイッチを押す。


洞窟に幾つもの埋め込んだダイナマイトが爆発。


硬い鱗に爆発力では歯が立たないが崩れる岩でうごきを止めることは出来た。


「ミック!」


振り返るとナターシャが泣いていた。


ミックはナターシャに鎧を装着するのを手伝わせる。そのために足止めをした。


「もう勝てない、私達じゃあ無理だったのよ」


「ナターシャ、聞いてくれ。俺はやる、必ず倒すと約束する。

大丈夫だ心配ない。

そして頼みがある。もし、もし俺が負けたら何が何でもセントリーブスに帰って報告するんだ。

だけどな、オレは勝つ!勝ってやる。

そしてこの鎧は誰にも見つからない所に棄てる。

こいつは本当にヤバいもんだからよ」


ミックは何となく分かっていた。


鎧を最強の状態で使えばあっという間に命が削られることを。


「んじゃまあ、いってくっか」


ミックは鎧に魔力を最大限に掛ける。


鎧はミックの血を吸ったように真っ赤に染まる。


人間の限界を遙かに越えた速度で撃ち込まれる大剣は巨大な質量となって邪龍の肉を切り刻む。


邪龍の頭が止まった瞬間ミックが一気に大剣を突き刺す。


「だから大丈夫だって言っただろう、後は頼むぜ!ナターシャ!」


ゆっくり倒れる邪龍。


と共に鎧も地面に叩きつけられる。








ナターシャは2人の墓の前で祈る。


「ありがとうコージ」


「ミック・・・ここでほんとうのお別れです」


鎧を載せた馬車に乗ってナターシャはかつて行ったことのある深い森の中の湖を目指した。








だれも知ることのない話である。








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