来訪者
城門前に佇むコーデル家の紋章が描かれた旗が翻る巨大なモノから音が発せられた。
「エーと、僕は早乙女 遥と言います。マクシミリアン・コーデル伯爵から頼まれて来ましたがこちらはセントリーブス国の王都で間違いないでしょうか」
迫力に欠ける男性の声が王都に響く。
「あ、あれが勇者なるものでしょうか。人とはかけ離れているようですが間違いなくマクシミリアン卿の名を言いましたぞ」
「姿形はどうあれ卿が送り込んでくれた我らの味方。よくよくみればなんと力強いかと」
戸惑いながらもどう対処すべきか考え込む国王以下貴族達はマクシミリアンの名を語る以上敵では無いだろうという結論のもと兵士を城門に送り出した。
人一人開いた門から飛び出た兵士はひっくり返った声でここがセントリーブス国で有ること、その中心である王城に間違いないと答えた
しばらくすると巨大なモノの横の壁が縦に開き中からこざっぱりとした青年と何やら複雑な魔道具を抱えた妙な服装をした者共が出てくる。
青年は兵士の前に佇みセントリーブス国騎士団に倣った礼をした。
「初めまして私が早乙女 遥と言います。この人たちは銀翼の鷹のメンバーでぼくの護衛です」
「あ、私はセントリーブス国第二騎士団所属エドガー・ホークと申すものです。と、ところでそちらの御仁は銀翼の鷹と言いましたか・・・ではアシュリー殿と言うこと・・・」
「ああ、誤解しないで下さい。アシュリーさんはここには居ません。彼等も僕と同じ世界の人間です。アシュリーさんから護衛チームに是非とも銀翼の鷹の名を付けてくれと頼まれまして」
銀翼の鷹のメンバー一人が畳んであったコーデル家の旗を広げて高く掲げる。
「マクシミリアン・コーデル伯爵様よりセントリーブス国守護の任務を賜りましたコーデル社セントリーブス国支社長早乙女 遥およびコーデル社総務部私設軍事課銀翼の鷹着任のご挨拶に伺いました。国王陛下もお忙しいとは思いますがご報告しなければいけないことが有りますので速やかに面会をお願いできますようおはからいくだされば幸いです」