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管理人

マリアンヌ・コーデルは学生寮の住居兼管理人室で三女のフレイと向き合っていた。


マクシミリアンが旅立って早くも10年がすぎ、35歳。


長女は平民となりレックスと結婚し魔王国で大きなボクシングジムを経営している。


次女は魔王国の王子と結婚、今は王妃だ。


三女はここコーデル総合大学の学生でコーデル家から通っている。


コーデル家の仕事をマクシミリアンの弟に肩代わりしてもらい、自分はコーデル総合大学の学生寮を管理している。


コーデル伯爵家にいるとマクシミリアンの顔が浮かび恋しさで涙が止まらない日々が続いていた。

マリアンヌは既に国王の近衛騎士として働いていたマクシミリアンの弟に相談した。


再婚するつもりはいっさいないがここにいると愛おしさと悲しみで胸がはちきれそうだと。

それでも三女にマクシミリアンの娘として嫁いで欲しい。

すべてが済めば実家のセントリーブス家の姓を名乗るつもりだと。


マクシミリアンを忘れたくないマリアンヌのわがままである。


マクシミリアンの弟はそれを了承しマリアンヌの兄、セントリーブス王国国王に相談し実家の仕事を当面騎士の地位のまま引き継いだ。


マリアンヌは伯爵家から貴族が多く住むエリアに邸を求め引っ越した。


それでもマクシミリアンとの繋がりを感じていたかったマリアンヌはコーデル社に仕事を求めた。


なにもしていないとおかしくなりそうだったのだろう。


それを聞きつけたマクシミリアンの弟。


弟にとっても兄は英雄であり、その犠牲になったのがマリアンヌなのだ。

コレからは何でも言って欲しいとマリアンヌに告げ、コーデル社のつてを頼ってコーデル総合大学の学生寮の管理人という仕事を見つけた。


伯爵婦人にできることといえばそうそう無いのである。


マクシミリアンの弟が見つけてくれた学生寮の管理人という仕事。


ここはコーデル総合大学学生寮の中でも貧乏学生が集まるところ。


「お母様」


「何かしらフレイ」


茶色と白のまだら模様の猫を膝に乗せ答えるマリアンヌ。


「こういってはなんですが本当に貧しい学生ばかりなんですね」


「でもみんな優秀なのよ」


「伺っております有名ですから、コーデル総合大学第5学生寮といえば学費を免除されたトップレベルの学生の為の寮ですもの」


フフフとマリアンヌが笑う。


「お仕事はお慣れになられましたでしょうか、わたくしは心配でございます」


「もちろんよ、今では雨漏りなども直せますよ。ちょっとは寮生にお手伝いお願いしちゃってますけどね」


驚くフレイ。王家の娘として大事に育てられマクシミリアン・コーデルに嫁いだ母が雨漏りを直せることに。


マリアンヌだけが知らないのだが、寮生のあいだでは管理人に仕事の手伝いを頼まれるのは名誉なことであり、管理人と触れ合える至福の時が持てるかもしれないチャンスなのだ。

マリアンヌが金槌を握っただけで仕事の手伝いをしようと群がる状態になっていたのである。

勉強の支障になっているのではと心配になるマリアンヌであった。

だが寮生は更に勉学に励んでいたのだ。

成績が落ちて学費免除が撤回されたらここを追い出される。

みんなの羨望の的の美貌の管理人のいる寮に住める権利を手放す訳がなかった。


フレイはこの学生寮は予算ぎりぎりで運営されていると知っていた。


「お怪我だけはお気をつけくださいまし」


「はい」


結果的に未亡人となったマリアンヌ。


学生たちの憧れの超美人管理人さんである。


夜中に酔った男子学生たちが街の中でマリアンヌの名前をさけぶ。


年中大騒ぎのコーデル総合大学第5学生寮はマリアンヌにとっても生き甲斐になっていた。


タッカー・ホンゴスが来るまでは。







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