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捜索

コーデル総合大学マクシミリアン記念講堂脇の一角。


猫を抱きかかえる大学敷地内の建物を管理するおじさん、その名はギャバン。


「困ったものじゃ、こう猫をポンポン捨てられると可愛くて学生の気が散ると言うのに。またうちに猫が増えてしまう、こまったのうー」


とは言うものの目尻が下がりっぱなしのギャバン。


妙にカッコいい。


「くっくっく、そりゃあ大変だなお爺さん、ワタシが避妊手術をしてやる。その猫を黙ってコッチによこしな」


白衣に身を包んだ銀縁メガネの男が、5人のこれまた白衣の若い男たちを引き連れて現れる。


「だ、誰じゃ貴様!身分も明かさんもんに猫を渡すわけにはいかん!」


「仕方ねーなー、おい!トットと猫を連れてこい!」


下っ端らしい白衣の男達がお爺さんの目の前で学生証を見せた。


「獣医学部1年のアデューです。あっちの人は教授の・・・」


チュルルル~チュルル る~るー。


チュルルル~~る~ルール、る~る~。


「なんだ、なんだ」


「おい!どこから聞こえる!」


哀愁を帯びる口笛がどこからともなく聞こえてくる。


ひとりの学生が口笛が聞こえる方角にある木の上を見るとギターを抱えた男がギターを弾かずに口笛を吹いていた。


「何のために・・・危ない真似は・・・」


とお!かけ声とともにおおよそ1.5メートルの高さから飛び降りる男。


目の高さで考えれば3メートルは優に越える。


怖くないのか! 


驚く5人の白衣の学生。


「何者だ!」


銀縁メガネの教授が飛び降りたギターの男に吼える。


「最近ここいらで猫を攫う連中がおおいらしくってね」


「貴様には関係ない!」


銀縁メガネの教授は最近普及しているスマホを耳元に当てようとするが、ギターの男の手がそれを阻止する。


「そいつで守衛を呼ぼうったってそうは問屋がおろさねーぜ」


あきらかに不審者である。


揉み合う二人を5人の白衣の若いエルフの学生たちはただ遠巻きにしていた。


体力が無いからである。


「くそ!止めろ!猫はこのワタシが手術するんだ、邪魔するな!」


「貴様~!貴様がアスカを!」


お互いに体力が無いのかハーハー言いながら揉み合う。


「教授!いい加減に行かないと講義が・・・」


「うるさい!くそ!このままじゃラチが開かない。

おい!貴様!ワタシと矢の的当て勝負だ!。

ワタシが勝てば貴様は守衛所にいってもらう!いいか!」


ふん、と鼻を鳴らすギターの不審者。


「俺の名はタッカー・ホンゴス。その勝負、受けて立とう!」


背中に背負ってるギターを迷惑顔のお爺さんに手渡す。


学生達は面倒くさそうにアーチェリー部に掛け合って的をぶら下げアーチェリーと矢を二人に渡す。


『おかしいなーボランティアで猫の避妊手術してるだけなのに何でこうなる。それにアスカって誰なんだ』


銀縁メガネの教授が矢を構える。弓から離れる矢は的の中心にキマッタ。


「くっくっく、ワタシの勝ちだタッカー・ホンゴス」


ニヤリと笑いながらアーチェリーを受け取るタッカー。


「教えてやろう。ここじゃあアンタが一番かも知れないがセントリーブスじゃあ2番だ」


そう言いながら人差し指と中指を唇の前で左右に振る。


タッカーが弦を引き絞る。


スッと放たれた矢はなんと銀縁メガネの教授の矢尻に突き刺さったのだ!。


「な、なんだと!」


驚く銀縁メガネの教授のエリを掴むタッカー。


「茶色と白の縞模様の子猫は知っているな」


「し、知らん。ワタシが知るわけがない」


「知っているな!」


「知らんと言っている!」


その時ギャバンがギターの不審者に向かって言い放つ。


「たしか魔王国王子がそんな猫をマクシミリアン・コーデル伯爵婦人の娘に預かって貰いに行ったと聞いているんじゃが」


「それは本当ですかお爺さん!」


「ああ、儂がうそを言って何になる」


「マクシミリアン・コーデル伯爵婦人のところか、メンドクサイ事になりそうだ。・・・わかった感謝するお爺さん!」


ギターの不審者はお爺さんからギターを受け取ると逃げるように走っていった。


と言うか逃げた。


『待ってろよ、アスカお前を俺が必ず取り戻してやる』


ギターを持った不審者の男の名前はタッカー・ホンゴス。


セントリーブス王国の侯爵家の次男。


1月前に愛猫に逃げられ必死に探すセントリーブス王国一の粋なイケメン愛猫家。


彼の2つの国を跨ぐ長い旅が始まった。


ちなみにギャバンが保護した猫は無事に避妊手術が成功し、教卓の上で丸くなっている。














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