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ヘビーメタル

「公爵・・・」


じろりと声を出した男を睨むロレンツ。


「失礼しました先生!そろそろ出番ですのでご用意おねがいします」


ロレンツは若干乱れた着物の裾を直すとゆっくりとステージに向かった。


「では本日のメインゲスト、歌手のローレンスさんです、みなさん盛大な拍手でお迎えいたしましょう」


舞台の脇から堂々とした態度で中央に進むローレンスことロレンツ。


満員の会場からローレンスの名前がさけばれ割れるような拍手が鳴り止まない。


ロレンツはニッコリ笑うと丁寧に頭を下げる。


「では歌っていただきましょう!歌っていただくのはみなさまおなじみの大ヒット曲『ねこ』!ローレンスさん宜しくお願いいたします」


生演奏の楽器からゆったりとしたイントロが奏でられる。


ロレンツがお腹に右手を当てマイクを左に持ち歌い始める。


『なんでーこんーなーに、かわいいのかとー、ネコっとーいうなのーたからーものー』


聴衆は張りが有りつつ暖かいロレンツの声にうっとり聴き入る。


ネコをかっている者、虹の向こうに旅立ってしまったネコを思い出す者、伯爵婦人にネコを奪われた者。


中には感動のあまり泣き出す者もいた。


ネコをうばわれた者である。


ロレンツは歌う、今度は違うのど飴にしてみようと。


ロレンツは思う、このような唄に出会えて好運であったと。


ロレンツは安堵する、この歌に著作権がないことを。


魔王国並びにセントリーブス王国に置いて並ぶことのない偉大な演歌歌手。


芸のために公爵位を息子に譲り今ではローレンスという芸名で歌い励まし楽しませる事が自分の使命だと感じている。


幾らでも歌える。


時代が彼を呼んだのだ。



その頃マクシミリアン・コーデルは錦糸町のマスターとママしか居ないsnackでクダをまいていた。


「我が何故にレナのkaraokeにつきあわされねばならんのだ、聞いてくれマスター」


「はいはい」


ちなみにここのマスターは外語大を出ている。


「延々、延々ヘビーメタル風というアニメーションソング、通称アニソンだ、それを延々、延々歌うのだ。おかしいと思わんか。

まあ、『赤き血の誓いは』良い歌と我も認めるにはやぶさかではないがな」


「はいはい」


「お!マクシミリアンの旦那、ここにいたんですかい。未来ちゃんが最近見ないって心配してましたぜ」


「おお!そなたか、聞いてくれ、レナとだな・・・・・」


実はこれがセントリーブス王国が存在する世界のkeyであった。




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