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世界一の価値

セントリーブス王国ボクシング協会王者リックスは、セントリーブス王国と魔王国ブラキュアの1戦を勝利で飾り最初の世界チャンピオンになると確信していた。


「お嬢、あんたは貴族だ。しかも女だ。悪いがセコンドから離れてくれ。此処は男の戦場だ」


「私にとっても戦場ですよリックス。

貴族だろうが、女だろうが関係ございません。

あなたを育てたのはこの私アリア・コーデル。ここに居る資格は十分御座います。そしてこの闘いはあなたが初の世界チャンピオンになる栄光の場所。

それを見届けたいのです」


「いいのかい、俺は世界チャンピオンになる、なってみせる。だがそれと同時にあんたの妹のレイア・・・」


「勝負に私情は持ち込まない、涼子さんの言葉を忘れたのかしら」


「ああ、今の言葉は忘れてくれ、お嬢」


リックスの汗を必死に拭うアリア。


地球から養護施設に保護されていた孤児たちと転移してきた伝説のボクシングトレーナー涼子の愛弟子となったアリア。


今ではセントリーブス王国ボクシング協会所属コーデルボクシングジムの会長である。


通称、お嬢。


初めてのアリアとボクシングの出会い。


捕虜収容所内で飼っていたブタが脱走し、慰問をしていたアリアに目掛けて突進していたところを一撃で倒し名も告げず、ただの冒険者さと言い残して去っていった男。


「おい見たか、すげーストレートパンチだぜ」


「そうだな、あんなパンチはボクサーにしか撃てない」


「ボクサー・・・」


「ああ、ボクサーさ。ボクシングって言うスポーツ競技者さ」


アリアはその日からボクシングに没頭していき地球人の涼子と知り合う。


その昔女子プロボクサーだった涼子は孤児たちにボクシングの技術を伝え、やればやっただけ実力が感じられる楽しさを通して人格形成を図っていたのだ。


涼子に師事しボクシングジムを立ち上げる。


そしてとうとうあの日突進してきたブタを一撃で倒したリックスと再度出会う。


それからの二人はボクシングに全てを賭けた。


最新のトレーニングを取り入れ、あらゆるパンチを考えた。


多くの必殺パンチが生まれ名が付けられたが奥床しい彼らは自分の心の中で必殺技を叫ぶ事にした。


何となくまずい気がしたからだ。


そうこうするうちに国内でチャンピオンとなった。


あとは世界チャンピオン。


トレーナーとしても世界チャンピオン育成という栄光は欲しいものだった。


レイアの前でその事を伝えた。


レイアは静かに頷いた。


妹を思えばこの試合を受けるべきではなかったが、魔王国国王からボクシングで決着をという提案を受け、真っ向から受けて立つと宣言したマリアンヌは国王を言いくるめ遥を説得しついでに世界チャンピオン決定戦というイベントに塗り替えてしまった。


相手は魔王国国王の肝いりで作られた新進気鋭のボクサーが集まると噂がされているジム、極北の拳。


アリアはリックスの背中を勢いよく叩いてリングに送り出した。





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