想定外
レナは悩んでいた。
遥に会う為に必死にマジェスティックワールドの人気向上策を練り上げ、仲間の力を借り、尊い犠牲者をほんの一部出しながらも結果を出して来た。
そのかいあってアニメ、実写ドラマにもなり世界中で子供達に大人気になるまでになった。
子供達の人気に目を付けたマクシミリアンはゲームによる人格判別システムを開発、日本支社が中心になって計画が早急に推し進められた。
残り11年、それを過ぎれば地球の崩壊が始まる。
マクシミリアンは転移させる地球人は軍事、医療その他エキスパートを除く将来を担う可能性を持つ者として若い地球人とした。
更にセントリーブス王国民と同じ思想、性格を持つ者を転移者として候補に上げるように指示した。
転移先で苦労する事が分かっていたからである。
無論全ての地球人の性格を調べ上げ、移住させるに相応しい者だけとするのはかなり乱暴で将来の可能性を狭める事に危惧はしていたが時間が切迫しておりセントリーブス王国の安全を量りにかける気はサラサラ無かった。
身分や権力、経済力などの要素は一切排除した。
そのためにマジェスティックワールド人格判別システムを開発し、世界中の子供達にマジェスティックワールド専用ゲーム機を無料で配布し、通信料金もかからないようにした。
ゲームの人気を維持するアイデアをかき集める事がレナの発想と実行力によって成功し、順調に事は進んでいた。
システム開発及び改良は日本支社が中心となり、ネットワークでつながった世界中の技術者が最先端の開発環境が構築された日本のサーバーで日夜活動していた。
ゲームのシステム開発自体には関わる事が無いレナであったが、ゲームの内容やユーザーの要望をまとめ上げるもっとも重要な仕事に着いていた。
ゲームの人気が無ければマクシミリアンの思惑も絵に描いた餅なのだ。
その他にもマルコを伴って、社会から疎外されがちな子供達の元へゲーム機を持ち込む仕事も始めた。
もちろんそこに打算が無かったわけではない、福祉に関わることによりマジェスティックワールドのイメージ向上ももくろみの中の一つではあったが単純に機会の平等を図る事が大きな意味であるとのマクシミリアンの意向が大きい。
人気キャラクターが美少女を伴って世界中の悲しみに暮れる子供たちの前に現れるというのはとてもインパクトがあった。
マルコは一人しか居ないので、似た役者を使い世界中に配置し走り回らせる。
子供の直感を侮っていたレナ。
子供たちの、本物のマックに会いたいという要望がひっきりなしな上、本物のマックには必ず銀色の妖精のようなお姉さんがアシスタントとして付いている噂が広がりレナ自身に会いたいという要望も高かった。
レナの人気は、実のところ既にマックを超えていたのだ。
マックは子供と女性に人気があった。
レナは子供と男女に人気があった。
芸能人が自分と同性の人気を獲得するためにアピールしファンの拡大を目論む作戦を人当たりの良いレナは意図せず行っていたのだ。
しかもドラマでも見ることができない幻の超絶美少女というレアキャラである。
レナは世界中を飛び回る、文字通り世界を股に掛ける女になった。
唯一の心の慰めは世界中の美少年と出逢える事。
それでも遥に会いたい思いは弱まるばかりか強くなっていく。
なぜこうなってしまったのか。
自分自身の欲望というのは自分では測れないものである。




