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誘導

「やあ!みんな僕がマックさ、みんなとは初めましてってところかな!」


目の前に軽自動車に乗った【マックの空】の主人公マックがいる。


子どもたちは約束通り来てくれたマックに群がった。


「マックさん!本当に来てくれたんだ!」

「本当に本物だ!マックさんの車カッコよすぎ!」

「マック兄ちゃんだ!いかしてるぜマック兄ちゃん!」


何人かの子供は建物の中から恐る恐る覗き込んでいた、それをマルコは見逃さない。


「さあ!そこの君たちもこっちに来ないか!握手しようぜ!」


ここは日本の児童養護施設、マルコはマックに扮しコーデル社からの届け物を運んできたところだ。


取り囲んでいる子どもたちの前でマルコは幌付きオフロード四輪駆動の白い軽自動車から『ちゅうウウ!』と叫んでカッコよく車から飛び降りる。

わっと歓声が上がる。

子供たちから次々差し伸べられる手をガッチリ握り、もう一つの手で子どもたちの頭をわしゃわしゃする。


「マックさん本当に来てくれたんですね、有りがとう御座います。

ああ!自己紹介が遅れましてすいません、わたくし白鳥 涼子と申します」


施設を管理運営している初老の女性が涙を流して頭を下げる。


今の今までマックが来てくれるとは思ってもいなかったのだ。

だが子どもたちは必ず来てくれると信じていた。

そんな子供の気持ちに対して自分が恥ずかしかった涼子である。


「愛ですよ!涼子さん!子どもたちの愛が僕をここにこさせたんです!泣いちゃいけない!」


マルコは首に巻いた青いバンダナを外すと涼子の涙を優しく拭う。


「お恥ずかしい姿をお見せしてしまって」


「何を言うんですか!涙は心の汗!熱い心を持ってる証拠ですよ涼子さん。

だけどいつまでもその美しい顔に涙を残してはいけない。

さあ!僕に笑顔を見せてください!」


マルコの爽やかでくるしい笑顔が涼子の心に染み渡る。



アニメ【マックの空】が世界的人気となりイギリスの国営テレビ局がいち早く実写化の権利を買い取り、実写版【マックの空】を制作した。


題名は【Mack's sky】、そのまんまである。

主演男優はマクシミリアンの護衛騎士マルコ。


出し抜かれたアメリカのテレビ局がイギリス政府に抗議。


コーデル社がアメリカ合衆国に本社を置くにも関わらず動かなかった貴様らが何を言う!とイギリス政府首相から一喝されるエピソードまで飛び出す。


ドラマは放送された途端に大ヒット。

視聴率はどの国でも30%を軽く越え、オモチャから衣料品、靴、指なしグローブ、服、カウボーイハット、腕時計までマックグッズが売り出され空前絶後の売り上げを上げる。


実写版マックの空で主人公が旅で使っている軽自動車も世界中で売り出され、憧れの車1位になる。


アメリカでもマックの乗る軽自動車を売ってくれという要望が高まり発売しようとしたがアメリカ合衆国では軽自動車は公道を走れないため、仕方なく自動車会社は同じデザインで少し大きめの車を発売。残念ながら売上はそこそこであった。


ファンは軽自動車でなければ本物ではないと満足しなかったのだ。


世界各地の民間放送局に【マックの空】の番組スポンサーに名乗り出る企業が群がり、我こそはと手を上げスポンサー料も高額化していった。


コーデル社のイメージは更に上がり、権利収入も600億ドルを超えた。


この影にメイドのレナの活躍があり、マルコの涙があった。


それもこれも遥に会いたいがために画策されたものだったわけだが。


「みんな、集まってくれたかな。今からお姉さんが約束の物を配るから僕の車の後ろに小さい子順に並んでくれよ!いいかな!みんな!」


レナがいそいそと車から降りトランクから、立てかけることの出来るタブレット型コンピューターとコントローラー、充電器がセットで入った箱を渡していく。


男の子たちはレナを見ると顔が真っ赤になった。


レナは心の涎を拭いながら淑女らしく丁寧な仕草で手渡していった。


全ての子供達に荷物が行き渡るとマルコは回りを見渡す。


「みんな!いいかい、ゲームは一日1時間、休みの日だけは特別に2時間!やくそくしてくれるかい!」


子どもたちが頷く。


「よし!この約束は君たちと僕とのものだ、信じてるぜ!」


マルコは『ちゅうウウ!』と叫んで車に飛び乗る。


「また会おうぜ!みんな!」


マルコのくるしい言葉が去っていく軽自動車から聞こえる。


子どもたちはそれが見えなくなるまで手を振っていた。












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