みんなの力
「ミランダ様が日本支社長で御座いますか。ではわたくしは遥様のそば仕えということでよろしいのでしょうか」
レナの中では日本支社移籍は決定事項である。
「なにをいう、そちは今まで通りここで我の力となってもらうに決まっておろうが」
「え・・・」
レナは勝手に思い込んでいた日本支社移籍がない事態に固まってしまう。
あれ、おかしい。確か私は遥君のそばに行くことになってたんじゃなかったかしらとブツブツつぶやく。
しばらくするとはっとした顔でマクシミリアンに近づく。
「あ、あ、あのわたくしにどの様な落ち度が御座いましたでしょうか伯爵様。もし落ち度が御座いましたらおしゃっていただけませんでしょうか」
「ないぞ、レナは完璧なメイドである。誇ってよい、我が保証しよう」
レナは本心の一部を隠しながらも正直にマクシミリアンにお願いした。
「日本でシナケレバならないことも御座いますので、わたくしもミランダ様とともに是非」
何をするつもりなのか分からないがと考えつつマクシミリアンは答えた。
「それは聞き入れることはならん、諦めろ」
ヨヨヨと泣き崩れるレナ。
「魔法陣開発とゲームによる性格把握実験を日本支社が中心になって行われることに決定された。
今はゲーム事業は全てミランダが指揮をとっておるのだ当然な人事であろう。
我はアメリカ合衆国で今後も活動する予定である。
日本語通訳が出来るメイドはミランダとそちしかおらん。
今後地球人の幾末にも関わる話も多く問題も発生するであろう。
信用が置けるのは我と共に転移してきた者共のみであると思っている。
しかるにそちには我のそばにいてもらわねば、日本支社と急な要件があった場合は困るのでな」
レナはガックリ肩を落とすと社長室から出て行く。
「何をそう興奮しておるのか、日頃は冷静冷徹なメイドであるのに。そんなにミランダといたいものなのか」
レナが一人控え室で溜め息をついているとミランダが近づく。
「レナこれは伯爵様の決断です。いつまでも我が侭を言ってはいけませんよ」
「・・・」
「なぜその様に日本にこだわるのですか」
「夢です」
「夢・・・ですか。それはどういう夢なのですか」
「・・・」
言えるわけがなかった。
ミランダは軽く頭を振ると『あなたと離れるのは寂しいと私も思っているの』といって出て行った。
『まだだ、まだ私は負けた訳じゃない。
そうよ、会えなきゃ会えるようにすれば良いのよ。私は勝つ、勝って遥君に会いにいく!』
なにと戦っているのか分からないがレナは燃えた。
逆境に強いメイドの意地がレナを強くする。
レナはマジェスティックワールドの攻略と改善点に取り組んだ。
数は力だ。
世界中の同志のうちネットゲームに興味を持つ者がいるか探しだしマジェスティックワールドをアピールした。
興味を持った彼等にゲームの改善点を指摘して貰いマクシミリアンに報告。
これに感激したマクシミリアンは社員一同に無理強いはしないが、もし改善点があればレナに報告して欲しいと伝えた。
魔法陣開発だけでなくゲームのありとあらゆるものの改善点がレナに集まる。
この改善点を週に一度まとめてマクシミリアンに報告、細かいところをメールで伝えたり動画で伝えるのも難しい部分はレナが日本に行って開発チームに直接伝えた。
それを大規模転移を行うまで続けた。
こういう努力が実を結びユーザーフレンドリーなゲームとして地球が滅ぶ寸前まで人気が維持されたのだった。




