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「はあ…」
思わず吐いたため息が、白くなった。
…思った以上に、空気が冷たいみたい。
そう思うと、わたしの心まで暗くなってくる。
「寒い?」
「ん~、ちょっと。雨あがったら、あったかい飲み物でも飲もうか?」
そろそろ顔も冷えてきた頃なので、顔をあげようとしたら…いきなり彼に抱き締められた。
「えっ、えっ?」
突然のことにワタワタしていると、力を込めて抱き締められた。
「…これなら、寒くないだろ?」
「さっ寒くはないけど…」
そこで気付いた。
彼の心臓、強く高鳴っていることに。
つられてわたしの心臓まで、痛いぐらいに高鳴る。
そうして彼がわたしを抱き締めたまま、時間が過ぎ、気付けば雨はやみ始めていた。
…こうなると、雨は降り続いてほしかった。
「あっありがと。もう大丈夫だから」
それでも―雪は降らない。
わたしは彼の胸を押して、半ば強引に離れた。
「あっ、うん…」
本当は気付いていた。
彼がわたしを思う気持ちに…。
彼が自覚する前から、気付いてしまっていた。
だからわたしの方から、言い出さなくちゃいけないのに…。
…グダグダだなぁ。
天気は味方をしてくれないし。
気持ちは踏み切れないし。
やっぱり…自然消滅なのかな。