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ポツッ…
でもふと、顔に冷たい雫が触れた。
もしかして…。
空を見上げると、雨の粒が次々と落ちてきた。
「ウソッ!? 雨降ってきた?」
「そうみたい。場所、移動しよう」
彼は上着を脱いで、わたしの頭にかぶせてくれた。
そして腕を掴んで、大きな桜の木の下に連れて来てくれた。
…こういうことをアッサリとしてしまうところが、何気なくときめいてしまう。
実際、顔は熱くなっているし、鼓動も早くなってしまった。
「通り雨だと良いな」
「うっうん…」
「寒くない? 花冷えしそうだな」
「だっ大丈夫」
彼の上着で顔を隠しながら、答える。
真っ赤に染まった顔を見られたら、告白もない。
一発で、バレてしまう。
しばらく2人黙って、そこに立っていた。
雨のせいか、周囲に人気の気配はない。
…雨じゃなく、雪だったら良かったのになぁ。
桜が満開になる頃、あたたかな空気の中、降る雪は何故か心あたたかくなる。
桜の花びらと共に待って、幻想的なあの風景がとても好きだった。
その時、風は少し強めの方が良い。
雪と桜の花びらの白さが、見分けつかなくぐらい舞い散るのが、美しいから。
…でも今は無風、しかも冷たい雨。
コレは何か?
告白なんて考えるだけムダだと、天が言っているのだろうか?
やっぱり彼はわたしのことを、ただの友達としか見てくれていないということかな?