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何を見ても悲しいなら

作者: フランク太宰

何をしても何を見ても思い出す、悲哀があるなら、きっと君は幸福ではないのかもしれない。

でも、特別なことじゃない僕にだってある。何気ないアーケードに何気ない路地裏、何気ない人の仕草に悲しみを感じる。そんなアーケードは悪者だ、僕にとっては。

今日、何気ないアーケードの中にある、寂れた何気ない旨いコーヒーをだす店で

ある女と話をした。彼女は言ったよ「目に見えるものに心左右されちゃ、あまちゃんよ。心の目で見なきゃ。」

その時、僕は思っていた、早いとこ宗教の勧誘なり、美人局のお誘いでもしてくれよってね。でもいっこうに彼女はそんな素振りを見せなかった。僕はタバコを吸いながら彼女の話したい本題を待ち続けたよ。

でも、彼女は昔見たオーロラの話とか氷点下のロシアの地方都市の話しかしなかった。あまりにとりとめがない話で、全くまいったよ。

だから僕もとりとめのない質問を彼女にしたんだ。

そう例えば

「月と六ペンスについて、どう思う?」とかね。

彼女は言ったよ

「挿し絵がないのが問題ね」

なるほど、彼女はバカでないことがわかったよ。

で、どうしたんだっけ、とりとめのない会話すぎて、思い出せないな。


でも、これだけは印象的だった、彼女はコーヒーを二杯飲んで、ハイライトのメンソールを三本吸った後、席を立った、そして僕を置いてきぼりにして帰って行ったよ。

そしてさ、帰り際に

「辛いときは目を瞑りなさい、心も瞑りなさい、そして、こう思いなさい、たいしたことじゃないって。」



気取った女だったね、全くさ、でも別に構わないよ、僕は目を瞑る。



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