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あえて僕はモテないようにする  作者: 色落りん
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花火と同時に散る想い

お兄さんどこに行ったんだろう?

折角の花火なのに。

トイレとかかな?

とりあえずこっちの方…あ…見つけた。

あれ?誰かと話してるみたい。

フミカ「ちょっとお兄さん…」


優子「ちょっとあんた!何してんの!?」


フミカ「あ…えーっと…お兄さ…三上君を探しに来て見つけたので呼びに行こうかと思ったんですけど…」


優子「今はダメ!」


フミカ「え…何でですか?」


優子「今は重要な時なの!いいからあんたも見つからないようにここにいなさい。」


フミカ「あ、はい。でも何でこんなところに隠れてるんですか?」


優子「そのうち分かるよ。ところであんた名前は?」


フミカ「汐留フミカです。」


優子「フミカね。うちは相沢優子で三上君のクラスメイト。フミカは三上君とどういう関係?」


フミカ「三上君の妹が私の同級生なんです。」


優子「へ〜そうなんだ。ってか三上君妹いたんだ〜」


フミカ「それでいつになったら分かるんですか?」


優子「もうすぐなはずなんだけど…」

ちょっとゆっきー、早く言いなさいよ。


ーーー


上野「それで…呼び出したのは…その…」

どうしよう…

緊張しすぎて上手く喋れない…

上野「えーっと…その…」


完全に告白だな。

でも緊張して全然上手く話せてない。

ここは何も言わずに待ってあげよう。

どうせ振るんだし。


上野「三上君ってさ…彼女出来た…?」


冷「出来てないですよ。」


上野「そっか…えーっと…」

え…何聞いてるんだろう…私…

あれ?何言うつもりだったんだっけ…?

言葉が…出てこないよ…


中々言ってこないな。

それだけ緊張してるのだろう。

でも早く言わないと花火終わっちゃうよ?


もうこうなったら…

冷「三上君…好きです!良かったら私と付き合って下さい!」


花火の音にかき消されながらもその想いは僕にしっかり届いた。

高校に入学して初の告白。

今考えるとよくここまで告白されずに来たな。

自分にご褒美をあげたいぐらいだ。

そしてごめんね上野さん。


ーーー


フミカ「相沢さん、今なんて言ったか聞こえました?私は花火の音で全然…」


優子「うちもはっきりとは聞こえなかったけど、たぶん言ったと思う。」


フミカ「言ったって何をですか?」


優子「三上君が好きって。」


フミカ「え!?それって…」


優子「告白よ。そして三上君の答えは…」


ーーー


冷「ごめんなさい。気持ちは嬉しいです。でも僕は今誰とも付き合う気がありません。」


上野「そっか…」


冷「それに仮に僕と付き合ってもそのうち嫌になるだけですよ。」


上野「え…それってどういう…意味…?」


冷「嫌になるぐらい何もない人間です。」


上野「えーっと…何もないことないと思うし…それに私は嫌になるとは思えないかな…」


冷「とにかく上野さんの想いに応えることは出来ません。」


上野「そっか…わざわざごめんね…三上君…」


冷「こちらこそすみません。」


上野「んーん大丈夫。わざわざ来てくれてありがとう…じゃあバイバイ三上君…」


上野さんの目は今にも涙で溢れそうになっていた。

そうなるのも無理はない。

振られたのだから。

告白というのは時に残酷だな。

たまに好きな人が出来た人に告白するように促す人がいるが僕はそれが全く理解出来ない。

どんな結末が待っているのか分からないのになぜあそこまで告白をするように勧められるのか。

「想いを伝えるだけでも」なんて言う人は何も分かっていない。

その想いを伝えて断られた時、「伝えられた」だけでは済まされない。

さっきの上野さんのように悲しみで溢れる。

おそらく上野さんも今頃どこかで泣いているだろう。

相沢さんは告白を隠れながら見ていたはず。

慰めの時間だ。


ーーー


優子「ゆっきー、告白出来ただけで立派だって。だから泣かないで…」


上野「そうだけど…でも…」


お兄さん、この人を振ったのか。

結構可愛いのに勿体無いなぁ。

タイプじゃなかったのかな?

それとも別に好きな人がいるとか?

お兄さんの返事も花火で聞こえなかったなぁ。

あ、ってか花火もうすぐ終わっちゃう。

お兄さん連れてみんなのところに戻らないと。

フミカ「相沢さん、私もう行きます。」


優子「あ、うん。またねフミカ。」


その後フミカちゃんが僕を探しに来て、一緒に皆がいる場所に戻ったが、戻った頃には花火は終わっていた。

宮本さんとリナにしつこくどこ行ってたか聞かれ、適当に腹を壊してトイレに行っていたと伝えた。

軽々と上野さんに告白されたなんて言えない。


ーーーーー


へ〜。

上野さんが一番か〜。

なるほどね〜面白くなってきたじゃない。

それに…どうやら三上君には色々とまだまだ引き出しがありそうだし。

楽しみ♡

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